本書では、元タイガーマスクで新日本プロレスをやめ、ユニバーサルレスリングを立ち上げた佐山聡、佐山と一緒にユニバーサルに移籍し、格闘技色を強めた前田日明、新日本プロレスを保守的とみなし、前田を支持した週刊プロレスの山本隆司などが登場する。地味な関節技を理解できる観客は少ない。派手なバックドロップもブレーンバスターも、場外乱闘もない格闘技に観客動員力がない。このジレンマを打ち破ったのが初期ユニバーサルである。佐山は、ロープに飛んでも返ってこない、チキンウィングフェイスロックによる試合終了など絶妙な格闘技色を出した。 ユニバーサル崩壊後のUWFで活躍したのは前田だった。前田の挑発的な態度は、既存のル…