著者は高名な西洋中世史研究者。1980-90年代は人気があった人だったと記憶する。その人が「教養」について書くから、竹内洋「教養主義の没落」(中公新書)で触れられなかった西洋の教養の歴史がわかると思って読んだ。1996年刊行。あとがきによると、大学の要職にあって激務で研究と執筆の時間があまりとれなかったそう。 序章 建前と本音 / 第1章 公共性としての「世間」 ・・・ 日本の「世間」をハーバーマスの公共性で説明しようとする。(おれにはまったく筋が通らない議論。日本の「世間」は儒教や国家神道で作られたもので、権力によって政治参加ができない共同体だった。世間には「公共性」の実践も概念もない。) …