ピエール・ルジャンドル『ルジャンドルとの対話』(聞き手フィリップ・プティ、森元庸介訳、みすず書房、2010)を読んだ。 ルジャンドルは「ドグマ」と言う「呪われた語彙、理解されなくなった語彙」を蘇生させた。その由来であるギリシャ語の「ドクサ」は見えるもの、現れているもの、それらしく思われてるもの、夢の光景、装飾といった意味がある。ドグマにまつわる「権威的な思考」「自由な思考への憎悪」といった意味を帯びるようになったのは最近のことだという。 社会の根底にはドグマがある。典型として、「書くこと、綴り方を学ぶこと」がある。「現今の社会にあって第一の儀礼」である文字の綴り(文字の順番)がそうであるのは、…