パソコンなどの情報機器を用いて日本語入力をするために用いる「ひらがな」入力方式の一つ。
JIS規格としては、JIS X 4063:2000(仮名漢字変換システムのための英字キー入力から仮名への変換方式)として約10年間存在していたが、同規格は「IMEシェアの寡占化によって、ローマ字定義の多様性が薄れた」ために、2010年に廃止された*1。
Windows端末で「かな入力」と「ローマ字入力」を切り替える場合は、次の操作のうちいずれかを行う。
- IMEツールバーの右端下側にある「KANA」表示をマウスで1回クリックする。
- 「Alt」を押しながら「カタカナ/ひらがな/ローマ字」を押す。
- うまく切り替わらない場合は、「Alt」を押しながら「半角/全角/漢字」を押し、一旦キーを離してから「Alt」を押しながら「カタカナ/ひらがな/ローマ字」を押す。
- IMEツールバーの「プロパティ──入力設定」を開いて、入力方法を設定しなおす。
ひらがなを直接指定する方式ではなく、五十音表の行段を別々の打鍵により指定する方法である。
以下に、ローマ字入力をするうえで最低限必要な定義を示す。
ワ行 | ラ行 | ヤ行 | マ行 | ハ行 | ナ行 | タ行 | サ行 | カ行 | ア行 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
わWA | らRA | やYA | まMA | はHA | なNA | たTA | さSA | かKA | あA | ア段 |
りRI | みMI | ひHI | にNI | ちTI | しSI | きKI | いI | イ段 | ||
るRU | ゆYU | むMU | ふHU | ぬNU | つTU | すSU | くKU | うU | ウ段 | |
れRE | めME | へHE | ねNE | てTE | せSE | けKE | えE | エ段 | ||
をWO | ろRO | よYO | もMO | ほHO | のNO | とTO | そSO | こKO | おO | オ段 |
ー- | んNN | っXTU | 。. | 、, | う゛VU | そのほかの文字 | ||||
ゃXYA | は°PA | ばBA | だDA | ざZA | がGA | ぁXA | ア段濁音・半濁音・小書き文字 | |||
ひ°PI | びBI | ぢDI | じZI | ぎGI | ぃXI | イ段濁音・半濁音・小書き文字 | ||||
ゅXYU | ふ°PU | ぶBU | づDU | ずZU | ぐGU | ぅXU | ウ段濁音・半濁音・小書き文字 | |||
へ°PE | べBE | でDE | ぜZE | げGE | ぇXE | エ段濁音・半濁音・小書き文字 | ||||
ょXYO | ほ°PO | ぼBO | どDO | ぞZO | ごGO | ぉXO | オ段濁音・半濁音・小書き文字 |
- パソコンにおけるローマ字入力は「学校で習うローマ字」とは異質のもので、あくまでも「JIS X 4063綴りをつかって、現代仮名遣いのための【かな】を出すプロセスの一つ」である。国語科の授業で『学校(がっこう)』のローマ字綴りを問われたときに、決して「gakkou」などと回答してはならない。
- 上記の綴りに縛られず「すべてのJIS X 4063綴りを覚え、かつ一切のタイムロス無しに思い出せる」場合は、5%程度の打鍵数(≒打鍵時間)削減*2が見込める。ただし、「たかが5%だ」と割り切れるか、「綴りを思い出すために時間が掛かる」という場合は、上記の綴り以外は無視しても差し支えない。
- 「い」「ぃ」を除くイ段カナの後にヤ行拗音が続く場合、綴り中の「ix」は省略しても良い。
- 例)「きゃ」=「kixya」=「kya」
- 例)「じょ」=「zixyo」=「zyo」
- 「っ」の後に子音が続く場合は、後に続く子音の2打鍵に置き換えても良い。
- 例)「っか」=「xtuka」=「kka」
- 例)「っと」=「xtuto」=「tto」
- 小書き文字を入力する際には、大文字用の綴りに「X」を前置する(JIS規格のX4063による)。
- 同じく小書き文字を入力する方法として「L」を前置する方法が知られているが、このときの挙動はJIS規格にはなく、IMによって表示される文字が異なる。
- この表は次の規則により表記した。
- バ行とハ°行の判読を容易にするため、半濁点の代わりに「°」を用いて表現している。
- 表内にある綴りの組み合わせにより表記可能な文字列(拗音節など)については、すべて省略した。
- ひらがなからの変換操作により出すことができる文字(「ゐ」「ゑ」「ゎ」「ヵ」「ヶ」など)は、すべて省略した。
「かな入力」と対比されることも多いが、「ひらがなを入力するための手段」であるという意味では、両者は非常に近い関係にある。
一般的にはQwerty英字配列を用い、JIS X 4063:2000(仮名漢字変換システムのための英字キー入力から仮名への変換方式)規則に則った英字→カナ変換を行う仕様を指す事が多い。
かな漢字変換システムによってはJIS X 4063:2000に準拠しない箇所があり、あるいはJIS X 4063:2000よりも多くの定義を用いていることもあるなど、その実装方法は厳密とは言い切れない部分がある。
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*1:IMEのシェアは寡占化され、残ったIMEはJIS X4063に適応するよう動作しているため、IMEを用いた日本語入力における綴りの揺れは、現時点でほぼ存在しない。一方で、タイピング練習ソフトに代表される「IMEを用いない日本語入力」においては、JIS X 4063:2000の消失に伴って独自ルールが散見されつつあり、一部には「IMEを用いた日本語入力の練習をするためには、役に立たない」ものも出始めている。
*2:http://d.hatena.ne.jp/maple_magician/20070604/1180930739を元にした簡易計算による。