解離性同一性障害(DID)は、かつて「多重人格障害」として知られ、誤解や偏見を受けることが多く、日本では滅多に診断されることのない精神障害です。DIDを描いた二つの映画を比較して「描かれ方でこうも違うものか!」と驚嘆しました。 1.誤解と偏見を受け続けてきたDID 一人の人間の中に複数の人格が現れる症状は、18世紀から記録が残されています。精神分析医フロイトと同時代に活躍したピエール・ジャネが「解離」として初めて研究で明らかにしました。 『イブの三つの顔』(1955年)、『シビル:私の中の16人』(1973年)など、実際の症例がセンセーショナルに出版・映画化されたことで、多重人格障害がアメリカ…