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隠し剣 鬼の爪

(映画)
かくしけんおにのつめ
  • 日本映画
  • 上映時間 131分
  • 公開情報 松竹
  • 2004年10月30日公開


監督/脚本・・・・・・山田洋次
プロデューサー・・・・・・深澤宏、山本一郎
原作・・・・・・藤沢周平
脚本・・・・・・朝間義隆
撮影・・・・・・長沼六男
美術・・・・・・出川三男
衣装・・・・・・黒澤和子
編集・・・・・・石井巌
音楽・・・・・・冨田勲
録音・・・・・・岸田和美
照明・・・・・・中岡源権
出演・・・・・・永瀬正敏、松たか子、吉岡秀隆、小澤征悦、田畑智子、高島礼子、光本幸子、田中邦衛、倍賞千恵子、田中泯、小林稔侍、緒形拳 ほか

解説

日本アカデミー賞15部門を始め、数々の映画賞を受賞、日本映画史の中で“永遠に語り継がれる傑作”と絶賛された『たそがれ清兵衛』は、2004年、国境を超えて世界中の人々の心をも揺さぶった。日本映画としては『泥の河』以来実に22年ぶりに、米アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされるという歴史的快挙を成し遂げたのだ。その『たそがれ清兵衛』に続く山田洋次監督、待望の最新作が、再び藤沢周平の原作を得て、遂に完成した。


時は幕末。東北の小藩である海坂藩の平侍、片桐宗蔵は、母の生前に奉公に来ていた百姓の娘きえと、3年ぶりに町で偶然再会する。宗蔵は、伊勢屋という大きな油問屋に嫁いで幸せに暮らしているとばかり思っていたきえの、痩せて寂しげな姿に胸を痛める。それから数ヵ月後、きえが病で伏せっていると聞いた宗蔵は伊勢屋に乗り込み、強引にきえを連れ帰る。平侍である宗蔵の貧しい暮らしが、回復したきえの笑顔で明るい毎日に戻った時、藩を揺るがす大事件が起きる。海坂藩江戸屋敷で謀反が発覚したのだ。首謀者の一人である狭間弥市郎と宗蔵は、かつて藩の剣術指南役だった戸田寛斎の門下生だった。戸田はなぜか、一番腕の立つ弥市郎ではなく、宗蔵に秘剣“鬼の爪”を伝授していた。まもなく弥市郎は脱走、宗蔵は家老から弥市郎を斬るように命じられるのだが……。


市井に生きる人々の葛藤と哀歓、そして郷愁を誘う美しい自然を描く藤沢周平の原作は、剣豪小説でありながら既存のものとは全く違う世界を作り上げた「隠し剣」シリーズの中の「隠し剣鬼ノ爪」と、男女の密やかな愛を描いた「雪明かり」。二つの短編に流れる、藤沢周平の精神を守り、大胆に脚本化した新作『隠し剣鬼の爪』は、時代が激しく移り変わろうとしていた幕末の庄内の海坂藩を舞台に、“鬼の爪”という秘剣を伝授され、予期せぬ激烈な運命に巻き込まれていく下級武士・片桐宗蔵の武士としての生き様と、彼の家に奉公にきた娘きえとの身分を越えたせつなく優しい愛を描く。300年も続いた専制政治が崩れようとしている不安な時代に、己の生き方とたった一つの愛を、もがきながらも貫き通そうとする主人公の姿は、まさに混迷した現代に生きる私たちと重なり、観る者の心にいつまでも消えない感動を刻みつける。


主人公の片桐宗蔵には、エキセントリックな役柄から時代劇まで、全く違う顔で演じ分け、海外の監督からも注目されている個性派俳優、永瀬正敏。きえには舞台、TVドラマ、CM、映画と幅広く活躍している松たか子。共演に、吉岡秀隆、小澤征悦、田畑智子、高島礼子、倍賞千恵子、田中邦衛、光本幸子、田中泯、小林稔侍、緒形拳といった実力派キャストが揃う。


スタッフには、脚本・朝間義隆、撮影・長沼六男、美術・出川三男、美術監修・西岡善信、音楽・冨田勲、照明・中岡源権、編集・石井巌、録音・岸田和美、衣裳・黒澤和子ら、『たそがれ清兵衛』で映画賞を独占した豪華メンバーが再び集結した。

公式サイトより引用

物語

時は幕末。江戸から遥か遠い東北の小藩である海坂藩にも、新しい時代が近づく足音が、かすかに聞こえ始めていた。


片桐宗蔵(永瀬正敏)は、きえ(松たか子)との思いがけない再会に胸を痛めていた。今は身の周りの世話をしてくれる老婆・粂と二人暮らしの宗蔵だが、3年前は母・吟(倍賞千恵子)と妹・志乃(田畑智子)、そして行儀見習いの女中奉公に来ていた百姓の娘きえに囲まれ、わずか三十石という平侍の貧しい暮らしながらも、笑いの絶えない楽しい毎日を送っていた。


やがて母は、いつまでたっても嫁をもらわない宗蔵を心配したまま、病で亡くなってしまった。志乃は宗蔵の親友で同じ藩士の島田左門(吉岡秀隆)に嫁ぎ、子供にも恵まれて幸せに暮らしている。宗蔵は、伊勢屋という大きな油問屋への縁談がまとまったきえもまた、幸せだと信じていた───町で買い物をしていたきえの、しんしんと降る雪の中に消え入りそうな、痩せて寂しげな後ろ姿を見送るまでは───。


それから数ヵ月後、宗蔵は江戸からやって来た教官の指導の下、他の藩士たちと共に慣れない大砲の扱いを学んでいた。しかし、西洋にならって戦術の近代化を図ろうとする藩の動きを快く思わない者もいた。宗蔵のおじ、片桐勘兵衛(田中邦衛)もその一人だ。宗蔵は母の三回忌の席で勘兵衛に、侍のくせに刀を捨てて飛び道具を使うから、嫁が貰えないのだと、妙な説教をされてしまう。


無事、法事を終えて母の思い出話をしていた志乃から、きえが病で伏せっていると聞いた宗蔵は、いても立ってもいられずに伊勢屋へ駆けつける。渋々案内するおかみ(光本幸子)に従って薄暗い物置部屋を開けると、きえはやつれ果てて横たわっていた。宗蔵は若主人に離縁状を用意しろと言い置くと、自らきえを背負って自分の家に連れて帰るのだった。


きえは日に日に回復し、きえの妹も見舞いに訪れ、宗蔵の家にはまた昔のように華やいだ笑いが溢れるようになっていた。ところが、そんなある日、藩を揺るがす大事件が起きる。海坂藩江戸屋敷で謀反が発覚したのだ。幕府表に知られるのを恐れた藩は、関係者をこっそりと処分、首謀者の一人である狭間弥市郎(小澤征悦)に関しては、山奥の座敷牢に閉じ込める"郷入り"という極刑に処すため、奥羽山脈の麓の村に護送した。


宗蔵と弥市郎とは、かつて藩の剣術指南役だった戸田寛斎(田中泯)の門下生で親しい友人だった。戸田はなぜか、一番腕の立つ弥市郎ではなく、宗蔵に秘剣-鬼の爪-を伝授していた。宗蔵は家老の堀将監(緒形拳)に呼び出され、弥市郎と通じていたのではと疑われ、門下生で彼と親しかった者の名前を問い詰められる。しかし、密告は侍にあるまじき行いだと、宗蔵は固く口を閉ざすのだった。


宗蔵ときえのことが心無い噂になっていた。きえを実家に帰すことを決意した宗蔵は、休みの日、子供の頃から見るのが夢だったという海にきえを連れて行く。海岸で波と戯れ、恋人同士のように並んでおむすびをほおばる二人。しかし、宗蔵は寂しさをこらえて、きえに帰れと切り出さねばならなかった。命の恩人である宗蔵のそばにいて、一生お世話をしたいと願うきえに、新しい人生を見つけて幸せになってほしいと、懸命に言い聞かせる宗蔵。きえは、うなずきながらもぽろぽろと涙をこぼすのだった。


まもなく弥市郎が牢を破って脱走、人質を盾にして百姓家に立てこもる。宗蔵は大目付の甲田(小林稔侍)から弥市郎を斬るように命じられる。弥市郎の妻・桂(高島礼子)は、堀に夫の命乞いをするが、願いはかなえられなかった。宗蔵は、間近に見え隠れする新しい世の中と、侍の世界の間で、己の運命を懸命に見定めようとしていた……。

公式サイトより引用

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