正岡子規、およびこの文学的巨人に繋がる二人の作品を収録した巻である。 [正岡子規]仰臥漫録竹の里歌 [高浜虚子]柿二つ五百句 [長塚節集]土病中雑詠 子規については、ここに収められた「仰臥漫録」をはじめ、これとともに所謂「四大随筆」を呼ばれる「松蘿玉液」「墨汁一滴」「病床六尺」はいずれも既読で、それらを繙いた時の鮮烈な印象もあって、内容についても、細部はさておきある程度記憶に残っていたのだが、今回また読んで、その剛毅――と一抹の弱さ――にあらためて感じ入った。 そして長塚節もまた、病苦の中で文筆に勤しみ、若くして世を去ったことは改めてご紹介するまでもなかろう。 本巻所収の彼の代表作たる「土」も…