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銀の三角

(マンガ)
ぎんのさんかく

萩尾望都のSF長編マンガ。
壮大な時空間で繰り広げられる本格SFであるが、迷宮のように複雑で、ミステリアスで、しかも叙情的な物語。文章で説明するのが難しいので、導入部分と全体構成を断片的にまとめる。
舞台は遠い未来、数多くの星系が点在する銀河系を、科学技術の卓越した「中央(センター)」星域がゆるやかに管理している。「中央」の人間は医学の進歩で長命を保ち、豊かな生活を享受している。また、重要度の高い人物は、死んだ後もクローンやロボットとして再生することができる。「辺境」の星系は貧しく、人々は短命で、国家も不安定だったり、専制的な支配を受けていたりする。
主人公「マーリー」は「中央」の「保安局」で機密度の高い仕事をしている。年齢300歳くらいだが、外見は青年。職務に忠実で、任務遂行のためには非情になる。
全体は三部構成。第1部はオリジナルのマーリー、第2部はクローンの「マーリー・2」、第3部は二体目のクローン「マーリー・3」が主に活動する。
第1部
1章「いのりのあさ」6年に一度しか朝の訪れない惑星「銀の三角」の人々の生活が、叙事詩的に語られるファンタジー調の部分。実は謎の吟遊詩人「ラグトーリン」の弾き語り。
2章「チグリスとユーフラテスの岸辺」マーリーがもう一人の重要人物である「エロキュス」という女性歌手のライブを聴くため、友人のジェイフとともに訪れた辺境星「トメイ」で革命に巻き込まれる。興奮した群衆に襲いかかられたエロキュスをかろうじて救出するが、再生センターに運ぶ途中で息を引き取ってしまう。実は彼女は元は「ルルゴー・モア」という中央第一のオペラ歌手であったが、ある出来事をきっかけに、名前も顔も変え、以前とは全く異なる音楽を歌い続けていた。それは彼女の見た幻のような場面、ラグトーリンという女性が、金の針のような虹彩の目を持った少年に歌を歌っているのを目撃したことだ。マーリーは急ぎラグトーリンを探すことを決意する。いったいそのことにどのような意味があるのか…。
3章「ミューパントーの歌」マーリーは手始めに、古代の民族音楽の研究をしているブール博士を惑星「プロメ」に訪ねる。そこでかつて予知能力を持つが故に戦争に利用され、故郷から引き離されたあげくに滅亡してしまった種族の伝説を聞く。それこそが金の虹彩を持つ「銀の三角」の人々だった。ブール博士はかつて、その種族を捜すラグトーリンに出会って、歌を聴いていた。彼女は幻ではなく実在していたのである。
4章「ラグトーリン迷路」マーリーは辺境惑星「赤砂地」にラグトーリンの手がかりがあると目星をつけ、追跡を開始するが、ここから悪夢のような時空の迷宮の中で、異能を持つラグトーリンとの駆け引きが始まる…。
そして、数万年の時の流れの中で、宇宙の秩序の崩壊を賭けた物語へと突入していく。

*のちにzabadakが、この作品をモチーフとしたアルバム・「銀の三角」を発表した。

書籍

銀の三角 (白泉社文庫)

銀の三角 (白泉社文庫)

銀の三角

銀の三角

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