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野田又夫

(読書)
のだまたお

野田 又夫(のだ またお、1910年 - 2004年4月22日)は日本の哲学者。大阪府出身。京都大学名誉教授、甲南女子大学名誉教授。バートランド・ラッセルのラッセル協会設立発起人の一人。
京都学派と一般には厳しく概括される西田幾多郎、田辺元らのもとで自ら学び、そしてまた同時に彼等の直接の薫陶をも受けた「最後の世代」に属する*1
ルネサンス(いわゆる「文芸復興」)期以降の近世哲学をその主軸に据える様々の諸業績のうち、ルネ・デカルト研究が最も一般的に著名であり、例えば、1966年〔の7月20日に〕岩波新書として上梓された『デカルト』は、今日に到るまで幾多の版を重ねるロングセラーと成っている*2のである。
またところで一部では、いわゆる「哲学学者」としての稀有にして大いなる仕事群のみならず、軽妙洒脱(!?)な随筆家(エッセイスト)としての一面もが、極めて高く評価されている、と仄聞される*3

最後に実に簡略的なまさに略歴をば。

1927年旧制・府立高津中学校(大阪府立高津高等学校の前身)卒業(同期生に大阪大学名誉教授・森三樹三郎がいる)。
1933年京都帝国大学卒業、旧制大阪高等学校教授、1947年京都帝国大学文学部助教授、1958年京都大学教授、1974年定年退官、甲南女子大学教授。

*1:京都大学(京大)在籍時の回想録としては例えば、『中公世界の名著22 デカルト』(中央公論社、1967年)の「解説」の末尾辺りを挙げることが出来る(し実際具体的な文章の引用をすらここでは本来しておきたいところであるのだが、如何せん今筆者の手元にはその現物が無いため内容はおろか、引証元のページ数等を上げ示すことさえ出来得ない。…識者の方々の御助力を請い願う仕儀なのである!…また、この「世界の名著」シリーズの廉価版とも言える「中公バックス」シリーズに於いても、おそらくは頁などの仕様は同一のものと想われるが、これも如何せん、手元に今はないため確かに、憶測の域を出るものではない。…が、ただ一つここでも言って置けることは、比較的最近になって、「中公クラッシクス」という名のシリーズが出て、これは前記の諸シリーズの復刊と看做されなくもないのだが、これは様々の事情から、完全なる復刊とは言い難く、前記の「解説」に至っては、新規の解説の為に全く、除去せられ尽くさるるに至っているのだ。蓋しそれが、部分的復刊に過ぎぬ所以なのである。)。…そこには、入学当初は斜に構えて、教授連を睥睨さえするが如き観のあった「生意気な」一学生が、特に田辺元の、凄絶とも言える程の緻密なテキスト読解上の作法、ないしは「流儀」に直に接することで自らの中に、「師」に対する深甚なる驚異と賛嘆との念の湧出せるを到底禁じ得ず、結果として殆ど「若き哲学徒」(即ち、自身の非業の死を敢然と、且つ従容として遂げた、かの弘津正二と野田は、ほぼ同輩に当るのではないか?)の如き学究態度へと急速に変転しゆく過程の胸中が、包み隠さず腹蔵もなく(?)、魅惑的な(!?)筆致で興味深くも、対話篇という形式を借りつつ融通無碍に描破せられていると、言えないこともないだろう、と想うのだ。

*2:このことの背景には、デカルトが、特に高等学校での「倫理」の教科書の影響を中心として、カントやヘーゲルらと並び、西欧の哲学者達の中ではダントツに――名だけは!――有名である割りには、本格的な基礎的な文献学的研究が未だに僅少ですらあると言っても強ち過言ではなく、このような或る一定以上の学問的水準に裏打ちされた「概説書」にも残念ながら我々は中々お目にかかれない、という我が国の学問実態に通有の実情が潜んでいようか?とも、筆者には推知せられるのである。

*3:…嘗て、少なくもノーベル文学賞受賞者であるという点に於いては異色の哲学者であるところのあのアンリ=ルイ・ベルクソン(「ベルグソン」とも。)が、「哲学者と芸術家は、同一の事柄を違った表現方法で以て表す者達なのだ」という趣旨のことを語ったことを想えば、哲学者とても文学等々に代表せられる芸術家としての諸々の素養の涵養が要請される、と言うよりは寧ろ、「芸術家の成り損ない、即ち、「芸術家崩れ」こそが哲学者に他ならぬ」と言う或る篤学の哲学研究者(にして哲学者)の言の方が、一流の哲学者たるの資格についてのより真実なる実態(或いは「実体」?)を言い当てているのではなかろうか?…ところでちなみに、我が国に於ける文芸批評家の草分け的存在とも同一視されるどころか、未だにその代名詞的存在としてすら言及されることのなくもないあの小林秀雄(や、或いは、独特の星座的「文学空間」を吾國としては珍しく創出し得た稲垣足穂も)が「ベルグソン」に鋭く鋭意に着目しえたことも、何も単なる偶然とは到底看做され得まい一種の必然の成りゆきであるとさえ、論定しえよう。

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