そもそも、『法華経』第五巻に、「文殊師利よ、この『法華経』は諸仏如来の秘密の蔵である。諸経の中において、最もその上にあり」とあります。この経文の通りならば、『法華経』は『大日経』などのすべての経典の頂上にある正しい教えです。そうであるなら、善無畏・金剛智・不空・弘法大師・慈覚大師・智証大師などは、この経文を、どのように密教経典と合わせ通じさせるのでしょうか。『法華経』第七巻に、「よくこの経典を受け保つ者も、またこのようである。すべての衆生の中において、また第一である」とあります。この経文の通りならば、『法華経』の行者は、川の流れや江河の中で大海のようであり、あらゆる山の中での須弥山のようであり…