江戸初期、豊前小倉の細川家では葡萄酒が製造されていた。材料には山ぶどうの一種であるエビヅルが用いられたとみられる。当時、葡萄酒は薬酒として重宝されており、細川家でも葡萄酒製造を重要視していた。一方で葡萄酒はキリシタンと強く関連付けられる飲み物でもあった。 豊前細川家の葡萄酒造り 人材の育成 薬酒としての葡萄酒 きりしたんをすゝめ候時入申酒 参考文献 豊前細川家の葡萄酒造り 豊前小倉の細川家では、少なくとも寛永四年(1627)から寛永七年(1630)に葡萄酒を造っていたことが史料上で確認されている。 寛永五年(1628)八月二十八日、「ぶだう酒を作り申時分」(葡萄酒を造る季節)であるとして当主の…