倫理学の書籍を読んでいると、どうも、「倫理」というものが特別視されすぎているという印象を受ける。倫理的判断は何ら特別な哲学的判断なのではなく、普通の言語活動の一環だと思っている。そういう視点からメタ倫理学的な考え事を書いていきたい。メタ倫理学と呼ぶことすら仰々しい。そう呼ばれているものの一部は、単に言語活動一般として分析されれば事足りるのではないか。 倫理的判断ないし倫理的な発言とは、「善い」「悪い」「すべき」「それはダメでしょ」等の語群を使う発言だといえる。これらを「倫理的語彙」と呼ぼう。我々の倫理的判断の根拠や源泉をあたるためには、それら倫理的語彙の学習過程に着目する必要がある。我々は、倫…