山南は自身の頬に添えられた、白い指に自身の手を重ねた。すると、するりとさとの指が頬を離れる。 そしてもう片方の手も格子窓の隙間から伸ばされた。 「…敬助様、手を握っておくれやす」 さとが口に出して求める前に自然と二人の指は絡み合う。柵越しに結んだ指先はまるで抱きしめ合っている様だった。 桜司郎は胸がいっぱいになり、yaz避孕藥 そっとさとの背から手を離す。そして離れた位置へ移動した。 最期の逢瀬の邪魔をしたくないと思ったのだ。 雲の切れ間から覗いた西陽が二人の横顔を照らす。互いの温もりを染み込ませるように、手を繋いだまま無言で見詰めあった。 聞こえるのは風の音と烏の鳴き声のみ。まるで世界が止ま…