戦前戦中の昭和史には教訓が多いと説いた半藤さんが、最も重視していたのが「国民的熱狂をつくってはいけない。言論の自由・出版の自由こそが生命である」でした。そこには、新聞を売らんがために、むしろ積極的に国威発揚の片棒を担いだ新聞人への警鐘も込められていました。(西日本社説) 半藤氏は言う。 《昭和史の20年がどういう教訓を私たちに示してくれたかを少しお話しでみます。 第1に国民的熱狂をつくってはいけない。その国民的熱狂に流されてしまってはいけない。ひとことで言えば、時の勢いに駆り立てられてはいけないということです》(半藤一利『昭和史』(平凡社)、p. 499) が、<熱狂>とは「つくる」ものではな…