哲学者のダニエル・デネットらの研究によれば、心の中の知識や信念に不一致を見出したときに、ぼくたちはおかしみを感じて笑いが起きる、という。ぼくたちの脳はたくさんの情報を高速で処理している。ときには不完全な情報のなかで知識や信念を形成している。そのため、どうしても現実との不一致が生じる。その間違った信念に基づいて行動すると、生存が危うくなる。だから、心の中の信念や知識のバグ取りの報酬としてユーモアの情動が生まれた、という説である。そのユーモアの情動という報酬を求めて、コメディやジョークといった笑いの文化を発展させてきた。 たしかに漫才をものすごく単純化すると、観客に次の展開を予測させる「フリ」、そ…