これは後述するつもりだが、第一書房の『土田杏村全集』の全巻校正は岡田正三が担っていた。ただ彼は『日本近代文学大事典』などには見えていない。ところが『第一書房長谷川巳之吉』所収の「第一書房刊行図書目録」にはふたつの『プラトン全集』の訳者として目にすることができる。これらの『プラトン全集』は昭和八年の小型版全五冊、同十七年からのA5判全十二冊であり、前者の『メノン編』は浜松の時代舎で入手している。 先の一冊に池田圭「私と第一書房本」という回想が寄せられ、この『プラトン全集』に関するくだりがあり、私などでは書けない言及が示されているので、それを引いてみよう。 最近は装釘のやわらかく軽い本を選ぶことの…