この作品の内容と興行不振を理由に1968年、鈴木は専属料の打ち切りを通告され、その通告を不当として鈴木は日活を告訴した(1971年に日活との裁判和解成立)。公開時のキャッチフレーズは「色、欲、裏切り…むせかえる肌と硝煙が奏でる殺しのシンフォニー!!」。 主演:宍戸錠 リスト::日本の映画::題名::か行
日活の創立110周年を記念した特集上映「Nikkatsu World Selection」が東京・シネスイッチ銀座で11月3日~10日に開催される(以降、全国順次公開)。 過去10年間、世界50カ国以上で披露された日活の名作8作品を、デジタル復元版で上映される。日活は、1912年創立の日本最古の映画会社。 【上映8作品】 「神々の深き欲望」(今村昌平監督)「殺しの烙印」(鈴木清順監督)。「月は上りぬ」(田中絹代監督)「(秘)色情めす市場」(田中登監督)「幕末太陽傳」(川島雄三監督)「丹下左膳余話 百万両の壺」(山中貞雄監督)「河内山宗俊」(山中貞雄監督)「丹下左膳余話 百万両の壺」 概要とあら…
『野獣の青春』(1963)、『殺しの烙印』(1967)、『ツィゴイネルワイゼン』(1980)などでカルト的な人気を誇る鈴木清順監督のトークショーが2年前の2012年1月に池袋にて行われた。諸事情(!?)により、いまさらのアップである。
裸の街。シオマドクの罠とラングのMを合わせるとフィンチャーのセブンになる切り口は見事だったが、バーヴォのモデル殺人事件とブニュエルの忘れられた人々に繋げれば、ニュージャックシティの冒頭の橋の上から人間を突き落とすウェズリースナイプスと橋の下から犯人を射殺するダーティーハーリーのイーストウッドの2つの映画のシーンの冒頭部分が交錯して、鈴木清順の殺しの烙印の目をうちぬかれる場面とブニュエルの目がカミソリで切られる画面が同レイヤーで重なって、この映画のラストシーンに繋がりセブンのラストが重なりながら、この映画のラストの静寂に戻る。 途中、フラィッシャーの殺人者やデパルマの殺しのドレスの影もみえる あ…
・国立映画アーカイブにて『月夜鴉』(39年 監督:井上金太郎)木下千花さんの講演付き、『名人長次彫』(43年 監督:萩原遼)。『月夜鴉』恋敵もいる神社にて実質結ばれる長回しがおかしさと切実さの塩梅が良くて、それからの裾が汚れるたびに慌てて拭く仕草を要所要所はさみながらの男女の横移動を中心にしたコミカルな日々も楽しい。芸道物といえば稽古場面が付き物のようで、一年にわたる稽古がほぼ一回のパンを挟んで終わらせたも同然の潔さに驚く(本当に上達したのか不安になる)。代わりに、墓場で一人三味線を弾く画が記憶に残る。終盤の演奏シーンになるまで、不意に家に残るはずの飯塚敏子から髙田浩吉への言伝を頼まれた女の子…
2023年、人生上の大事件があり、すごかったですね。 でもなんとか生きているし、よかった。 昨年のはこちら。 2022年の回顧(と展望) - 宇宙、日本、練馬
ここ数か月WOWOWで観た作品の備忘録。 ▼「ギフテッド」Season2「ギフテッド」を目的にWOWOWに加入した。Season1の雰囲気を引き継ぎつつ、映像も物語もぐっと重厚になったSeason2。WOWOWならではの映像美と田辺くんと高橋さんがキャストに加わることで説得力も増していた。なによりNEWSの主題歌が最後に映像付きでしっかりと流されていることが嬉しかった。あと中山優馬くんの悪役も良かった。「恋して悪魔」以来にみたので立派になって…という感慨深さもあった。続編が充分あり得る終わり方だったので、是非続編をお願いしたい! ▼「三体」超話題の原作は残念ながらまだ読んでいないが、気になって…
お題「映画音楽が好き」 ★ 小さい頃から映画音楽が好きである。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズに始まって主に洋画の音楽を愛聴してきた。ここではジャンル問わず、並べみた。 ★ 『バッファロー'66』(Buffalo '66) 音楽:ヴィンセント・ギャロ www.youtube.com www.youtube.com Buffalo 66 アーティスト:Ost Amazon BUFFALO 66 アーティスト:サントラ,ビンセント・ギャロ,イエス,ビンセント・ギャロ・Sr.,キング・クリムゾン,スタン・ゲッツ メルダック Amazon 『パリ、テキサス』(Paris,Texas) 音楽:…
どうも、抹茶マラカス(@tea_rwB)です。 今回は10月に見た旧作の映画。10月に見た、ということはもう11月だということ。恐ろしい。10月はマラソンを走りました。仁義なき戦いマラソンは完走、日活マラソンは終わりがない中でまずまず。東京流れ者は見たかったが致し方ない。クリストファー・リーヴの演じたスーパーマンシリーズマラソンはは1作目だけで途中棄権となりました。
鈴木清順監督、原田芳雄、大谷直子、藤田敏八、大楠道代、真喜志きさ子(妙子)、麿赤兒、玉寄長政(門付けの若い男)、木村有希(門付けの若い女)、樹木希林、佐々木すみ江(鰻屋の女将)、山谷初男(巡査)、玉川伊佐男(靑地の友人の医師)ほか出演の『ツィゴイネルワイゼン』4Kデジタル完全修復版。1980年作品。 原案は内田百閒の「サラサーテの盤」。 www.youtube.com www.youtube.com 大学教授の靑地<あおち>(藤田敏八)と友人の中砂<なかさご>(原田芳雄)は、旅先の宿で小稲(大谷直子)という芸者と出会う。1年後、中砂から結婚の知らせをうけた靑地は中砂家を訪れるが、新妻の園(大谷…
大阪物語。是枝監督の怪物に重ね合わせて田中裕子を見てると、田中裕子と安藤さくらが疑惑の岩下志麻と桃井かおりに被ってきたり、疑惑から何がジェーンに起こったか?のアメリカンニューシネマ。としての埠頭に突っ込む車。からソナチネのクレーン車。クレーン車からのセーラー服と機関銃。ヌードの夜や殺しの烙印の埠頭と車。 からの成瀬巳喜男の歌行燈や鶴八鶴次郎。みたいな伏線に被り出した時に、山田五十鈴繋がりで再び疑惑に戻る。異人たちとの夏。ー大林宣彦監督が醸し出すものー東京上空いらっしゃいませ。からの牡丹灯籠。牡丹灯籠からスピンオフして藤田敏八リボルバーからの長谷川和彦太陽を盗んだ男からの沢田研二と神代辰巳かか青…
けんかえれじい [DVD]高橋英樹Amazon この作品に原作があったのは知らなかったが、もとは児童文学作家の鈴木隆の自伝的長編小説によるのだという(この原作は今でも岩波の「現代文庫」で読めるようだ)。 そしてこの鈴木清純による映画化の、その脚本は新藤兼人が手掛けたのだというが、鈴木清純は撮影中にどんどんストーリーを変更してしまうので、完成した作品をみた新藤兼人は「これは自分の作品ではない」と語ったらしい。 実は日活は先に鈴木清純監督の『悪太郎』が成功したもので、この『けんかえれじい』も鈴木監督に撮らせたらしい。その『悪太郎』もつまりは今東光の自伝的小説の映画化だったわけで、わたしもその予告だ…
燃えるトランプ、刺しっぱなしの鍵、浮かびあがるナポレオンの瓶、切り裂かれる写真、真理アンヌ、小川万里子の左眼、といった不可解なクロースアップが、ショットのリズムを刻んでおり、画面の連なりの感覚をズラしている。 律儀な物語作家であれば、猿島のトーチカ痕を放火するショットは、 1.宍戸錠が灯油缶を投げ入れて撃つ 2.燃え上がる灯油缶 3.驚愕するNo.2の殺し屋 4.燃え上がる建物を背に逃げる宍戸 と撮ってしまうであろう所を、 1.宍戸錠が灯油缶を投げ入れ撃つ 2.燃え上がる建物から飛び出すNo.2 と、映像の連続性よりも、ぶつ切りの活劇を示しているのだ。ここでは燃え上がる事の始まりと終わりがない…
席がなくてほぼ最前列でみたのだが清順の殺しの烙印をSFにしたようなジャロっぽいホラーさやネオノワールとしての面白さがあったり、冒頭の小川の水や遠近感の狂った妻のイメージの死体感やブラウスは水に濡れて乳首が透けてみえているシーンなど、至近距離でみるとめちゃくちゃにサイケであったり、もはや動く中世の西洋絵画をみているような迫力さえあった
ピンチョンの『メイスン&ディクスン』は、9月にいちど読了してからつづけて二度目。2回読んでよかったと思う。映画: ●『アステロイド・シティ』(2023) ウェス・アンダーソン:脚本・監督Book: ●『メイスン&ディクスン』(上) トマス・ピンチョン:著 柴田元幸:訳 ●『メイスン&ディクスン』(下) トマス・ピンチョン:著 柴田元幸:訳 ●『ディフェンス』 ウラジーミル・ナボコフ:著 若島正:訳ホームシアター: ●『グランド・ブダペスト・ホテル』(2014) ウェス・アンダーソン:脚本・監督 ●『インターステラー』(2014) クリストファー・ノーラン:監督 ●『クライ・マッチョ』(2021…
殺しの烙印は、ところどころ凝った演出があったにしろ全体的に印象が曖昧で、そこまで清順作品の中では好きな一本では無かった。昨年、映画館で見直してみた時も清順のゴダール「気狂いピエロ」「女と男の居る舗道」なのだと勝手に結論づけたりした。 しかし、この映画を電光石火の男の故赤木圭一郎のスターの亡霊に支配された映画として考え直してみると、急に全ての場面が生き生きとしてくる。 電光石火の男も観る事をおすすめする。 後、電光石火の男の冒頭の白木まりと赤木圭一郎が列車で出会うシーンも、風のリリアンギッシュの亡霊として捉えると、2重にスターの亡霊を追う映画。みたいな感じで奥行きや遠近感が増して見応えがある。ア…
このところ、夢をよくみるようになったと思う。早朝にいちど目覚めたとき「ああ、夢をみていたなあ」と思い、その夢の内容もそのときにはある程度記憶していて、しばらくその夢のことを反芻して考えたりしながら、そんなうちにまた寝てしまう。そうして朝に目覚めるともう、「夢をみていた」ということしか思い出せず、夢の内容はすっかり忘れてしまっている。記憶しておくために枕元にメモ帳でも置いておいて、いちど目覚めたときに夢の内容を書き留めておこうかとも考えるけれども、そんなことをやっているとしっかりと目が覚めてしまい、そんなあまりに早すぎる目覚めに生活のリズムが狂ってしまうことを危惧する。 今日は午前中に北のスーパ…
日活100周年邦画クラシック GREAT20 殺しの烙印 HDリマスター版 [DVD]宍戸錠Amazon 主人公の殺し屋花田(宍戸錠)が「オレは米の炊ける匂いが好きだ!」というので有名な作品(だと思う)。じっさい、米の炊き上がった炊飯器の蓋を開け、その匂いに恍惚となるシーンもある。 脚本は「具流八郎」ということだけれども、これは脚本家ら8人によるグループ8人のことで、その8人には鈴木清純、大和屋竺、田中陽造、曽根中生らの名前があったようだ。この作品ではまずは大和屋竺が「殺し屋の世界ランキング」というアイディアから前半を書き、他のメンバーがそれに書き加えていったらしい。 けっきょく、この『殺しの…