1878―1923年 「星座」「宣言」「カインの末裔」「生まれ出づる悩み」「或る女」などにより、リアリズムの虚構を極めた作家として、大きな足跡を残した。 大正時代を代表する作家であり、武者小路実篤・志賀直哉らと共に雑誌「白樺」に参加。
父から引き継いだ広大なニセコの農場を、土地共有という形で小作人に無償で解放し、当時の社会に大きな反響を呼んだ (北海道ニセコ町有島記念館より)
息子に、俳優の森雅之。
『僕は一生が大事だと思いますよ。来世があろうが、過去世があろうが、この一生が大事だと思いますよ。有島武郎『或る女』(新潮社)』 過去に対する意識が強い人がいます。 一方、来世に希望を持つ人もいます。 人によっては、現世は、苦痛の地獄でしか無いようです。 そこまで、深刻でなくても、「今」には、居心地が良くないようです。 「この一生が大事」というフレーズのくり返しは、際立った表現として感じられます。 「生きているだけで丸儲け」と言ったコメディアンがいました。 つまり、生かされ、生きている間こそが大事だというのが、有島武郎のフレーズですね。 「おもしろくない」とか「つまらない」、「楽しくない」と聞く…
ごきげんよう、ワタクシよ。(Hello! It's me!みたいなかんじで読んでもらえれば…)書くことがないと書き出しがおかしくなりますね。とうとう関東甲信が梅雨入り。東京は夜から雨で、ジメジメしますわね。話すことがないと天気の話をしちゃうのも社交のテクニックですわよ。 みなさん書くことがないときはどうしてるんですか?書くことがないのにブログの更新するとかいうことはしないんですかね。私はハケ口がブログなので、書かないとやってられないのです。いや、書くことないって言ったばっかりなんですけど。 本日のお題を自分で作りますが、「愛は惜しみなく奪うものなのか?」についてお話ししたいと思います。 ser…
有島武郎に「或る女」という小説がある。独歩の妻だった佐々城信子がモデルである。今で言う飛んでる女である。”ある日、独歩が家に帰ってくると信子がいない”。信子に捨てられて「余は一種異様の感あり」。暫く未練を引きずっている。「源叔父」はそういう騒動のあった翌年発表された。 「源叔父」」は、佐伯地方の葛港と大入島を渡す船頭と城下を徘徊する白痴の哀れな少年「紀州乞食」との物語である。二人には実在のモデルがいる。 この時分の葛港は、「佐伯町にふさわしかるべし。見給ふ如く家といふ家幾ばくありや、人数は二十にも足らざるべく、淋しさは何時も今宵の如し」、と未だ寒村に過ぎない。独歩はこの港でよく泳いだ。葛港には…
(帰ってきた木田金次郎展) ★帰ってきた木田金次郎展 木田金次郎美術館、2022年7月1日(金)-11月6日(日) (WEBサイト→) www.kidakinjiro.com 1994年に開館した木田金次郎美術館は、収蔵作品のおよそ半分が、所蔵者からの寄贈・寄託によるものという、全国的に見ても珍しい美術館です。これは、1954年(昭和29年)9月の「岩内大火」により、木田金次郎自身や岩内の友人たちが所蔵してきた作品の多くを焼失したことに端を発しますが、当館の開館準備から現在まで、遺族から寄贈を受けた作品を核にして、開館当時の91点(油彩)が175点と、倍近くまでに充実してまいりました。これらの…
(有島武郎『やちだもの木立』、1914年) ★三岸好太郎 1920年-1930年代展 北海道立三岸好太郎美術館、2022年7月16日(土)-9月25日(日) (WEBサイト→) artmuseum.pref.hokkaido.lg.jp 1923年の画壇デビューから、わずか10年あまりのあいだに日本の近代洋画史を彗星のごとく駆け抜けた三岸好太郎。三岸好太郎は何を見て、何に心を躍らせていたのでしょうか。本展では、激動の1920年-1930年代に変貌を重ねた三岸好太郎の軌跡と、同時代の国内外の画家たちによる習作をご紹介いたします。 ※なお、こちらの掲載画像は、当ブログが独自に定めるガイドラインに基…
『或る女』有島武郎新潮文庫平成7年5月15日発行平成30年3月5日16刷 先日読んだ、佐藤優さんと富岡幸一郎さんの『危機の日本史 近代日本150年を読み解く』の大正篇で取り上げられていた作品。 megureca.hatenablog.com 有島武郎って、多分読んだことないと思ったので、図書館で借りて読んでみた。 裏の紹介文には、”美貌で才気溢れる早月葉子は、従軍記者として名をはせた詩人・木部と恋愛結婚するが、2ヶ月で離婚。その後、婚約者木村の待つアメリカへと渡る船の中で、事務長・倉知のたくましい魅力の虜となり、そのまま帰国してしまう。個性を抑圧する社会道徳に反抗し、不羈(ふき)奔放に生き通そ…
仕事の帰り道。 シトシトと降る雨の中、「そういえばこの辺りに文学館があったな」と少し回り道。 どっしりと構えたグレーの建物に近づき重いドアをゆっくりと開けると、ふわっとしたあたたかさに迎え入れられる。 地元にゆかりのある作家の本が並ぶその記念館はカフェも併設しており、読書をしながらコーヒーも楽しめます。 コンセプトの中心はあくまで読書。なのでメニューはホットコーヒーとアイスコーヒー、カフェオレだけ。 先に入っている客は女性ひとり。真剣に読みふけっている彼女の邪魔をしないよう、小声でホットコーヒーを注文して静かに本棚へ。 奥へ進むと、地元の作家のみならず日本の文学を作り上げた文豪たちの著書も並ん…
人生とは
(高山美香『ちまちま人形 有島武郎』) ★有島武郎 『星座』展 北海道立文学館、2022年1月19日(水)-3月13日(日) (WEBサイト→) www.h-bungaku.or.jp 有島武郎は『カインの末裔」や『生(うま)れ出(い)づる悩み』『或る女』などで知られる明治の文豪のひとり。本展では、有島武郎の生涯とそのおもな作品を書簡、日記、絵画、遺品などでたどると共に、札幌農学校(現在の北海道大学)の学生たちを描いた未完の小説『星座』の世界を紹介します。 ※なお、こちらの掲載画像は、当ブログが独自に定めるガイドラインに基づき、北海道立文学館さま(HP)よりお借りしました。
(有島武郎展) ★有島武郎展 釧路文学館、2022年1月29日(日)ー4月24日(日) (WEBサイト→) www.town.niseko.lg.jp 有島武郎は文学者であると同時に、思想家、美術家、不在地主でもありました。本展では、そうした有島武郎の生涯や、北海道での足跡について、ニセコ町有島武郎記念館収蔵の資料やパネル展示を通して、多彩な素顔に迫ります。 ※なお、こちらの掲載画像は、当ブログが独自に定めるガイドラインに基づき、有島記念館さま(HP)よりお借りしました。
谷口義明先生の「天文学者が解説する宮沢賢治 銀河鉄道の夜 と宇宙の旅」を読みながら、これは、やっぱり、宮沢賢治も読まないと!と思い、合わせて「銀河鉄道の夜」を読んでいる。こちらもなかなか難しいのですよ。 読み進めるのが。 昔、こんなに、本読めなかったかなーと、思うほどに…。 色々と読んだ気がするけど、なんで宮沢賢治は読んでないんだろう?と。 太宰治とか、有島武郎とかは、読んだけど。 とりあえず、なんとか、銀河鉄道の乗客に興味が持てるとこまで来た。 鳥捕りの語呂がなんとなく気に入って、 独り言で「トリトリ、トリトリ」とか言いながら、仕事してたりする自分が少しおかしい。 でも、楽しいからいいかな。
昭和58年10月5日1版1刷 昭和58年11月7日1版2刷 ①ころんで起き上がれない“福助頭” ②醜いものを避ける癖 ③相馬御風の思い出 ④楽しかった牛込お伽倶楽部 ⑤父は優しい気性だが家長の威厳 ⑥「神々の死」を繰り返し読む ⑦外交官を望んで一高の仏法科へ ⑧若き日の遍歴 ⑨雑誌に一高の寮生活を書く ⑩東大に進み、本や画集を集める ⑪吉野作造博士に声援 ⑫「光の精」がわが妻になる ・私は小説を書いていて、言葉の大工である。言葉をすぐって、あとに残るような仕事を出来ればしたいと望んでいる。明治30年10月9日横浜市生まれ。早稲田大学に入り矢来で自炊した。中学で塚原渋柿園の歴史小説を読みふけり、…
こんばんは皆様、三頌亭です。今日は昔の読み残し本です。ブックオフへ行くと双葉社版が置いてあったので買ってきました。これがなかなか面白かったので記事にしておきます。大まかにいうと「国木田家、その最初の妻の実家である佐々城家、佐々城夫人・豊寿の姉が嫁いだ森家を次々と襲った不幸の黒幕を、森家の娘、秋(後の相馬黒光:新宿中村屋創業者夫人)が追求する」と言うストーリーです。相馬黒光の『黙移』に触発されてできた作品ですが文壇ゴシップ解明するミステリーですね。モデル小説とノンフィクションの間の作品と言ったらいいのでしょうか?。証言を聞いて回る相馬黒光に明かされるエピソードがちょっと創作では得られないおもしろ…
3月4日誕生日の全国35万人の皆さんおめでとうございます (拙句)春暁の詩に今朝もまた目覚めたり 雅舟 【花】 ムラサキケマン 【花言葉】 あなたの助けになる 【短歌】かたくなな心をほぐす風情にてほのぼのと咲くムラサキケマン 道端や茂みに小さな紫の花を咲かせるこの花。派手さのない可憐な風情が、寒さにこわばった気持ちをときほぐしてくれるように感じました。 【季語】 紫華鬘(歳時記になし) 春暁 【俳句】春暁のわたしは白い紙でいる 片山 淳子 春暁や夢の続きに母の帯 田中 久子 春暁や何すべくして目覚めけむ 野沢 節子 【三行詩】春眠暁を覚えず 寝過ごした朝は ごまかして唱う【万葉歌】思はぬを思ふ…
夕日は沈んでも №2 朝日が昇る時は来る 平成三〇年七月二十七日に 江戸時代末期明治初期の古典に戻ってしまう ボードレールになって欲しかった 自然に生き自然に死んで逝った、アダムとエバは私達のよりどころです』 丁度みな教会のメンバーが八人のが感激に震えているときである。賃貸物件の二階の教会の入り口の扉を誰かが激しく叩く音がした。 下の隣の不動産屋です。 家賃の催促です。教会の一同集まっているようなので滞納状況を説明します。引っ越す際はきちんと滞納分を支払ってもらいたい。がんがんドアを叩き怒り狂ったようにしゃべり出しました。 『そんなに叩かないで、どうぞ若者よ』 ドア越しに途端に営業マンは目を疑…
太宰の文学的評価というのは未だに確定していないらしい。一般的の日本文学といえば、谷崎潤一郎、志賀直哉、川端康成、三島由紀夫などの名前が挙がり、太宰というと私小説作家の代名詞みたいな感覚なんだろうか。私はといえば、これまで作品よりは太宰と近しかった友人、妻、愛人などが書き残した文献などを中心に読んできた節がある。いったいに太宰とは何者なのか。全否定か全肯定しか許されないという評価もあるが、全否定の象徴となったのが三島由紀夫だろう。「私はアナタが嫌いなんです」と本人を目の前に堂々と言ってのけた。蛇足的な話だが、私は16歳のころから女性問題で周辺に迷惑をかけまくった。銃刀法違反で警察に捕まり、翌年に…
コシャカは大釈迦に出会う №3水恋鳥魚夫 (1)コシャカは大釈迦に出会う異郷の地獄より故郷の地獄に遭遇す 仏典600巻はダークマターです聖書66巻はダークエネルギーです 君は何故に彷徨い歩きますかドントテルミー あなたは何故に寝転がっていますかドントトークミー これは私の入滅の時の姿勢です 多神教と言えど選挙で投票したりする 選抜は有りません選抜は春の甲子園です 伝え聞くにあなたはサドカイ人、 パリサイ人の悪口で磔にされたと聞きました そうです人の金満欲と恨みと食欲と色欲 宇宙は欲界に住む我らにやさしか 彼らは旧約聖書読みの神人知らずです おかげでポンテイオ・ピラトはビートルズより有名になりま…
【有島武郎と足助素一:札幌の貸本屋独立社とその系譜】 藤島隆『貸本屋独立社とその系譜』(北方新書、北海道出版企画センター、2010)。 本書は、第一部「貸本屋独立社とその系譜」と第二部「北海道の貸本屋と図書館」との二部構成となっている。このような、読書をめぐる基礎的事実を調べた地味な基本文献を「新書」という、読者にとって手に取りやすい、そして相対的な廉価で提供する版元の姿勢に敬意を表したい。 以下では、有島武郎(1878-1923)と足助素一(1878-1930)のつながりを、また足助の起こした独立社の流れを、第一部「貸本屋独立社とその系譜」に探ってみたい。 独立社は、有島武郎の知友でありその…
【重要なお知らせ】軽井沢高原文庫は2024年3月16日(土)より新年度スタート致します.本年もよろしくお願い申し上げます.3/16~4/16迄,展示室では「軽井沢の文豪たちに逢いに行く」を開催します.敷地内の堀辰雄1412番山荘,有島武郎別荘,野上弥生子書斎も一般公開.写真は室生犀星,軽井沢(1950,幅北光撮影) pic.twitter.com/yVrP0sw1oW — 軽井沢高原文庫 (@kogenbunkokogen) 2024年2月16日
昭和58年10月5日1版1刷 昭和60年3月20日1版3刷 ①父の訛が生んだ姉の名 ②言葉通じぬ母と祖母 ③「里見弴」のいわれ ④幼いころ ⑤志摩子行方不明 ⑥私は「南陽丸第四号」 ⑦仲ノ町小学校時代 ⑧いつの間にか明朗な少年へ ⑨「楽天地」学習院 ⑩稔彦王が先棒かつぎ ⑪指揮刀とって「行軍」 ⑫藤村操の亜流と目さる ⑬軟派のニガ手乃木院長 ⑭回覧雑誌「麦」を出す ⑮白樺創刊 ・明治21年7月14日生まれ。学習院初等学科、中東学科、高等科を経て、当時は学習院高等科卒業の資格で帝国大学英文科に無試験入学できた。が1学期も終わらないうちに退学。一つも聞きたい講義がなかったから。「白樺」を創刊。回覧…
昆虫記第十巻4章に「ミノタウロスセンチコガネの美徳」という題の文が掲載されて いる。ここではミノタウロスセンチコガネの番(つがい)が他の虫と異なり、子育て に関して非常に情熱を持っており、雄は子育てをする雌を支え続けることが述べられ ている。乾燥を防ぐため深い穴を掘り土を運び出し、さらに雄は糞を集め雌は細かく して食物へと加工する。 ここまでは進化論で説明できるとファーブルは言い、しかしその後まだ雌は子育てが 必要なのだが、幼虫一頭分の食事が準備されたところで雄は巣を去ってしまうという のだ。そしてファーブルはなぜこの忙しい時期にもう少し雄が雌を手伝うように進化 しなかったのか強い疑問を呈して…
5時過ぎに起きて、既に雨が降ってるのでもう山は諦めるかと二度寝しようとするが寝られず。6時に寝床を這い出し、小雨になっているので登山口までは行ってみることにする。朝飯はハヤシライスとカップスープ。これで残った食品はラーメン1袋、塩タブ、カロリーメイト、ぱん3つだけとなった。食器を洗う。部屋で荷物を整理していたら網戸の外でネコが網戸を開けてほしそうに鳴くので開けてやると、部屋に入ってきてドア付近で廊下の様子(犬か?)をしばらく伺ってから入って来た網戸から出て行った。車に荷物を積み込み出発。きのこの里でリンゴファンタ買ってほぼ一気飲み。支笏湖で南湖畔で恵庭岳の写真撮影、また山頂に雲がかかっており登…
徘徊を思い立ち家を出たのが遅かった。 あちこちひっかかりウロウロするのはいつものことで最終目的地になかなかたどり着けない。 まあ、人と待ち合わせをしているわけでもないのでいいけれど。 千歳通りから左にそれて住宅地を歩いていると、鳥の声が騒がしい。 むせるような梅の香の向こうの空にゴマ塩をまぶしたような点がある。 拡大してみると⤵ 全部鳥です、すずめかしら。 別のアングルで見てみると、中央の大木の上が動いている。 うほっ! 木の枝の先全部が鳥ではないか! いったい何百匹いるだろう この辺りは、今でこそマンションが建ち並んでいるけれど、40年前は畑だった。 そんな千歳村に徳冨蘆花がやってきたのは明…
小説というものには作者の生まれ育った地域の影響が少なからず出ているように思います。そこで北海道に住んだことのある作家を一覧にしてみました。受賞歴や映像化、漫画家された馴染みのある作品を中心に紹介したいと思います。(50音順) ア行 朝倉 かすみ(あさくら かすみ) 主な受賞歴 東 直己(あづま なおみ) 主な受賞歴 映画化作品 安部公房 (あべ こうぼう) 主な受賞歴 映画化作品 荒巻 義雄(あらまき よしお) 主な受賞歴 漫画化作品 有島武郎(ありしま たけお) 映画化作品 おすすめ作品 池澤 夏樹(いけざわ なつき) 主な受賞歴 石塚 喜久三(いしづか きくぞう) 主な受賞歴 石原 慎太郎…