航空機の翼の平面形の分類で、翼を後ろに傾けて取り付けたもの。翼つけ根に対し翼端部が後方にある。
初期の機体から後退翼を採用したものはあったが、1935年にドイツのアドルフ・ブーゼマンが発表した後退翼理論により、航空機の高速化に有利であることが知られ、ジェット機の主翼の形態として多く用いられている。
後退翼の長所をまとめると;
このほか、重心調整や視界確保のため後退翼を採用する事例がある。
一方、後退翼には以下のような短所がある;
ソ連はドイツから接収した資料を用いて、後退翼の戦闘機MiG-15を開発した。MiG-15は朝鮮戦争に参戦して国連軍に対し高性能を見せつけた(いわゆる「ミグショック」)。アメリカは急遽後退翼の戦闘機F-86(アメリカもドイツから資料を接収していた、また、ブーゼマンは戦後アメリカに渡った)を投入し、以後朝鮮半島上空でMiG-15vsF-86の死闘が演じられた。