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後退翼

(一般)
こうたいよく

航空機の翼の平面形の分類で、翼を後ろに傾けて取り付けたもの。翼つけ根に対し翼端部が後方にある。

初期の機体から後退翼を採用したものはあったが、1935年にドイツのアドルフ・ブーゼマンが発表した後退翼理論により、航空機の高速化に有利であることが知られ、ジェット機の主翼の形態として多く用いられている。

後退翼の長所をまとめると;

  • 臨界マッハ数を高め、遷音速域での抵抗増加や飛行特性の悪化を防止する
  • 衝撃波の内側に主翼を納めることで、超音速域での造波抵抗を低減する
  • 機体の安定性を高める効果がある(無尾翼機は後退翼である場合が多い)

このほか、重心調整や視界確保のため後退翼を採用する事例がある。

一方、後退翼には以下のような短所がある;

  • 翼端失速を起こし易い
  • 高揚力装置の効果が現れにくくなり、離着陸時の速度を低減するのが難しい
  • 翼つけ根にねじりが作用するため構造重量が増す
  • 大迎角時に機体の安定性のバランスが崩れてダッチロールを引き起こす
  • 遷音速域の衝撃波失速も翼端で生じる傾向があり、ウイングドロップ(片側が失速)やピッチアップ(両翼端で失速、翼端は後方にあるので機首が急激に上がる)を生じる

ソ連はドイツから接収した資料を用いて、後退翼の戦闘機MiG-15を開発した。MiG-15は朝鮮戦争に参戦して国連軍に対し高性能を見せつけた(いわゆる「ミグショック」)。アメリカは急遽後退翼の戦闘機F-86(アメリカもドイツから資料を接収していた、また、ブーゼマンは戦後アメリカに渡った)を投入し、以後朝鮮半島上空でMiG-15vsF-86の死闘が演じられた。

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