私にはいま目標がある。 ジャック・デリダ『エクリチュールと差異』を理解することである。ジャック・デリダは20世紀後半を代表する哲学者で、エクリチュール(書かれるもの)の特徴に着目し、脱構築や差延、散種などの概念で知られる、らしい。文学理論の講義で軽く触れたが、これが難しい。その講義のレポートはたしかルネ・ジラールの欲望の三角形に関することを書いて単位をもらったのだが、講義という簡潔で分かりやすい工夫がなされた1時間半で「脱構築」をちゃんと理解できなかったというのは私の中で引っかかっていた。そこで著作を読んでみようと思い立ち、図書館に行ったのだが、やはり難解に感じてどうにかこうにかひと通り読んだ…