サルトル最初期の論考3篇を収めた一冊。 「想像力 ―デカルトからフッサールまで―」(初出 1936, 訳:平井啓之) 知覚と想像力、現実と非現実、受動的綜合と能動的綜合。知覚を成立させる素材と志向と想像力によって像(イマージュ)を成立させる素材と志向との間に断絶があることを強調し、想像力のはたらきをフッサールの現象学から論じようとしたサルトルの哲学的処女作。後の『イマジネール(想像力の問題)』(原著 1940)の前段をなしている。知覚を起点として想像力がはたらき何らかの像を結ぶという通念を断ち切ってみせたところに本論考の意味があるようだ。 「自我の超越 ―現象学的一記述の素描―」(初出 193…