気宇壮大は明治人の特徴である。 新興国のらしさ(・・・)とでも観るべきか。 乃公出でずんば蒼生を如何せん、俺こそこの先、日本を担う漢なりとの熱血が、国土に遍く漲っていた。 こういう例がある。 二十年代半ばごろ、さる地方都市の一学校を特に選んで、 ――将来の夢はなんですか。 そういう趣旨のアンケートが執り行われた。 現代に於いても入学式にかこつけて、よくやっているアレである。 結果は実に六割方が、 「政府の大臣になりたし」 との答えを返したそうだ。 これを受け、福澤諭吉先生などは芟除すべき「封建の遺風」がまだこんなにも残っていたかと瞠目し、「人生の功名富貴は至る処に求むべし、政府の地位羨むに足ら…