歴史学者。東京外国語大学名誉教授。 専攻は中国史、満州史、モンゴル史、日本古代史。宮脇淳子は弟子にして妻。 著書に『倭国』『倭国の時代』『チンギス・ハーン』『世界史の誕生』などがある。 1931年(昭和6年)1月24日、東京生まれ。 1953年(昭和28年)、東京大学文学部卒。 1957年(昭和32年)、日本学士院賞受賞。 2017年(平成29年)5月25日、死去。
昨年末、日本語ペラペラのあるチャイニーズの知り合いが我が家に来た際、私の本棚にある下記の本をみて「ボクもこの本持っています」と教えてくれました。 中国文明の歴史 (講談社現代新書) 作者:岡田英弘 講談社 Amazon そして「今、この本を中国に持っていくと検閲で没収されます。僕はこれまで中国について実はよくわからないところがあったんですけど、この本を読んで中国のことがいろいろと理解できました」と教えてくれました。 漢字や易の背景くらい知っておかなくちゃな~という軽い気持ちで買った本が、そんな(おそらく中国にとって都合の悪い)重大な内容だったのかと驚き、慌てて著者・岡田英弘先生のその他の本を読…
概要 構成 ポイント 感想 概要 タイトル:世界史の誕生 著者:岡田英弘 異なる概念から成り立っている「西洋史」と「東洋史」、地域も離れている2つの歴史はモンゴル帝国によるユーラシア大陸での活動によってつながりを持つことができた。 モンゴル帝国の活動から2つの世界がつながる世界史を解説しています。 歴史は文化であり、それを産み出した文明がおおう地域によって、通用範囲が決まるものである。 歴史を持つ二大文明である地中海=西ヨーロッパ文明と中国文明は、それぞれ前五世紀と前二世紀末に固有の歴史を産み出してから、十二世紀に至るまで、それぞれの地域でそれぞれの枠組みを持った歴史を書き続けていた。 それが…
最近,東京外国語大学名誉教授で東洋史学者の岡田英弘氏が亡くなった(2017年5月)。彼の本は何冊か読んでいる。最初に講談社現代新書の「中国文明の歴史」をざっと読んで感銘を受けたので、同じ話題、特に中国人にとっての漢字/漢文の役割について敷衍した解説を読みたくて、市立図書館から岡田英弘著作集IV「シナ(チャイナ)とは何か」を借りてきて読んだ。 その第IV部「漢字とは何か」はとてもおもしろかった。1986年、私が中国を訪問して西安の碑林を案内されたときの記憶とよく合致している。碑林には古代からの中国の石碑が収納されている。読もうと思えば何とか意味がつかめそうだが、念のために案内してくれた中国人院生…
www.nhk.jp 3か月でマスターする 世界史 4月号 (NHKシリーズ) 作者:岡本 隆司,井上 文則,守川 知子 NHK出版 Amazon NHKEテレ『3か月でマスターする世界史』が先日スタートした。番組冒頭から岡本隆司氏が佐藤あゆみアナに「コロンブスと聞くと何を思い浮かべますか」と問いかけ、佐藤アナが「新大陸の発見です」と答えると、「新大陸の発見という視点は、ヨーロッパという特殊な地域から見たものです」と指摘する一幕があった。「世界史をアジアの視点からとらえ直す」という番組の軸がここで示された形になる。 第一回は、古代文明の誕生と遊牧民との関りについて見ていく回。とかく大河とのかか…
本稿は,外山恒一氏主催・第34回「教養強化合宿」(通称・外山合宿)に参加しての感想・知見を明文化することを目的としている(第1章・第2章).また,これに合わせて,筆者自身が今後の発展学習の参考とするために,講義中に紹介された文献の一部を掲げる(第3章).さらに,「ギャラリー」と題した章に合宿中の写真を時系列でいくつか掲げる(第4章). なお,念のため筆者の立場を表明すると以下の通りになる. ノンポリ・ノンセクト.強いていうなら社会民主主義・ローザ主義. 新左翼運動は歴史学の対象として見ている.学生運動やセクトには一切関わっておらず,今後関わるつもりもない. 参加時点での所属は早稲田大学教育学部…
・紀元前597年 新バビロニアの君主,ナブー・クドゥリ・ウツウル(ネブカドネツァル)Ⅱは、ユダ君主国を滅ぼし、ヘブライ人をバビロンに連行した(バビロン捕囚)。 ※ヘブライ人は「ユダヤ人」となり、バビロンでの苦難のなかで教義を整え聖典を成立させた。聖典は、律法(戒律)を記す『トーラー』預言者(神の言葉を預かった者)の書『ネビィーム』諸書『ケトゥビーム』に分けられ、3つの頭文字を合わせて『タナハ』と呼ばれる(池上英洋『ヨーロッパ文明の起源』)。 『トーラー』の最初、『創世記』11章では、「バベルの塔」の話が語られる。作中には、人類が高い塔を立てようとするが、唯一神ヤハウェは人々が話す言葉をバラバラ…
2024/02/27 『ロシアとは何か モンゴル、中国から歴史認識を問い直す』(宮脇淳子:著/扶桑社)を読んだ。 まずは出版社の紹介文を引く。 ロシアを紐解けば世界がわかる! 「偉大なるロシアの復活」を標榜してウクライナ侵攻を続けるプーチンのロシア。一体、プーチンの描くロシアとは、何百年前の、どのようなロシアなのか? ロシア人とはどのようなルーツの人々なのか? 習近平の中国もまた「一帯一路構想」を提唱するが、ユーラシア大陸全体を支配する世界覇権をめざしているに等しい。「文明と文明の衝突の戦場では、歴史は、自分の立場を正当化する武器になる」と著者は説きます。ところが、「イスラム文明の内部では歴史…
篠田謙一著 ”人類の起源 古代DNAが語るホモ・サピエンスの「大いなる旅」"(中公新書)を読む。国立科学博物館館長の篠田謙一博士による人類の起源を解説した新書である。本稿では読後の雑感を記す。 これは”記録なき歴史学の到来”を宣言する書物か? 本書は新書版なので分量は限られるが、内容はとても濃い。人類進化の最近の知見のほとんどは21世紀になって勃興したこの分子人類学(Molecular Anthropology)の手法によるものだ。この20年間の知見の集積により人類進化に関する見方に革命が起こったと後世評価されるであろうし、既にそのように考えられている。本書の中で著者が何度も言及している通り、…
「鬼道」とは「シャーマニズム」にあらず、「道教」である。 2022年11月18日に日本でレビュー済み「魏志倭人伝」の新解釈について書かれていて、非常に興味深かったです。私は「邪馬台国は元々、筑後平野〜日田盆地の辺りにあったのではないか?」と考えていたのですが、「邪馬台国の中心が大宰府にあった」という筆者の解釈は斬新かつ、面白い。確かに「そもそも大宰府政庁(都府楼)とはなんぞや?」「白村江以前、大宰府には何があったのか?」といった疑問も、「そこが邪馬台国の中心だった」ということであれば腹落ちします。 卑弥呼の鬼道とは、魏の五斗米道である。単なる土着シャーマニズムではない。 ↑著者・下條竜夫氏が、…
アフィリエイト広告を利用しています **タイトル: 中国の文化大革命 - 社会の激動と文化の変容** **導入:** 文化大革命は、中国の歴史において1966年から1976年にかけて繰り広げられた大規模な政治運動であり、社会全体に激動と深刻な影響をもたらしました。この記事では、文化大革命の背景と主な出来事、そしてその歴史的な意義に焦点を当てます。 **1. 背景と動機:** 文化大革命は、毛沢東が中国社会を再構築し、共産主義革命の理念を浸透させるために始まりました。彼は青年たちを動員し、旧来の文化や体制に反抗することを奨励しました。 **2. 紅衛兵と運動の激化:** 文化大革命の初期には、紅…
『無防備列島』 志方俊之 海竜社 2006/6/23 <生物テロの被害を局限する備えを構築せよ> <人類の新たな敵、SARSウィルス、天然痘ウィルス・・・・> ・我が国は地下鉄サリン事件のオウム集団に対して、破壊活動防止法を適用し、これを徹底的に壊滅させたことだろう。間違いなく世論もそれを支持したに違いない。 ・しかし、現実はその逆だったわけで、集団そのものは名を変えて、活動を続けている。世界の危機管理感覚からすれば、11年前の日本は「世にも不思議な国」だった。 ・2003年のSARSのアウトブレイク(大規模感染)は、どうやら中国の広東省で、ある種の動物を宿主としていたコロナ・ウィルスが、この…
東大社会学の権威を守りたかったのだろう。東大内の実証主義者たちには不憫なことだった東大社会学の権威を守りたかったのだろう。東大内の実証主義者たちには不憫なことだった東大の文系学者は実証研究せずに、権威形成ばかりしてきたと言わざるを得ない。社会学者の見田宗介教授もそうだ実証主義の学者ならば、自分で記録を読んで、因果関係を見つけて論文を書く。つまり歴史は学者本人が作っているのだだが、これを言ったらその上に乗っかっていた自分の業績が全て壊れることに気づいて、4年後に前言を翻した。丸山眞男教授は、『歴史には法則性などない因果関係だけだ』ということに、1985年に気づいてしまった。ヘーゲルは『歴史の進歩…