老妓抄 (新潮文庫)作者:かの子, 岡本新潮社Amazon 長年お座敷をつとめた老妓が、発明で一山当てたいという若い男に住む家と生活費を与え、好きなようにやってごらんという。老妓が年甲斐もなく若い男を囲っているとうわさもたつが、なぜ老妓が自分を養ってくれるのか、実際のところ、若い男にもよくわからない。 芸妓という職業柄、技巧としての人間関係を生きてきた女が、年を取ってから生の充実を感じたいと思う。男に金を出しているのはどうもそのためらしい。しかし、生活が保証された男は、ありあまる自由な時間を手に入れたとたん、何もする気が起こらなくなってしまう。男の置かれた状況を考えると、恐ろしいような、それで…