2006年4月1日〜4月30日にシアタートラムで行われたシスカンパニー2本立て公演の一本。
作:菊池寛 演出:河原雅彦
出演:草なぎ剛、勝地涼、高橋克実、キムラ緑子、富川一人、梅沢昌代、沢竜二
瀬戸内海のある島の財産家の長男・義太郎は、毎日自分の家の高い屋根に上り、一日中、穏やかな海を凝視している。彼によれば、金毘羅様の空の彼方に神殿があり、天人と天狗が舞い踊る様子が見えるのだそう。そう言っては、彼はいつも無邪気に喜んでいる。しかし、両親にとっては、世間体もあり、何とか癒そうと苦心するが効き目がない。そんなある日、義太郎の奇行は狐が憑いたせいだという巫女が現れ、両親は巫女の言う通りに、屋上の義太郎を松葉でいぶし始める。そこへ中学校から帰宅した弟の末次郎が憤慨して巫女を追い出し、両親に、兄は今のままが幸福なのだと説き、将来は自分が面倒を見ると誓い、屋根に上り、狂人の兄とともに、穏やかな瀬戸内の海を照らす夕日を眺めるのであった。