あるとき、人にだまされるのは、だまされる側がだまされやすいからで、それをさけるには、幼いときに、だまされて口惜しい思いをするのがいちばんである。危険をさけるには、危険を経験するよりほかに手はない。こどもには適度の危険教育は必要ではないのか、と考えた。そして五銭のレントゲンのことを思い出した。 (外山滋比古『少年記』中公文庫、2011) こんばんは。今日は『思考の整理学』で知られる、外山滋比古さんの『少年記』より。外山さんの少年時代のエピソードをまとめたエッセイ集です。 冒頭に引用したのは「五銭のレントゲン」というタイトルの作品で、少年の頃、お祭りの出店で買ったレントゲンが「まがいもの」だったこ…