リアリズムの正しい在り方を示す俳人 児 島 庸 晃 批判的リアリズム…この言葉はあまりにも聞きなれていないかもしれない。純粋文芸の一端である俳句にとってはなんの関わりもないと思われるかもしれない。短詩系のしかも十七音律の言語に果たしてこのようなものが必要であるのだろうか。また可能なのであろうかと、考えるのは至極あたりまえのことである。この研究実践が行われたのは昭和三十年の初めから四十年後期である。当時、この運動が始まりかけたころは、金子兜太の造形俳句論や社会性俳句、それに、赤尾兜子などの前衛俳句、大原テルカズのイメージ論が俳句総合誌で活発に飛び交っていた時期である。それに関西からは、八木三日女…