ここでは日本、インド、韓国における神話や始祖との関係を「卵」をテーマに調べ、古代の各国での思想的なつながりに対する理解をより深める。韓国は卵生神話を持つのだが、その理由はインドの「ブラフマンの卵」にあるかもしれない。■日本書紀における天地開闢(てんちかいびゃく)日本書紀は720年に成立。宇宙の始まりを当時の人びとの科学的知識に即し「卵」に例えて説明がなされた。宇宙の初期状態においては天と地、つまり惑星という生命を育む場もない。そして陰陽の作用、陽という創造する働きと、陰という支える力もない。そういう混沌とした状態を「卵」で示した。しかしその状態とは「何もない」のではなく、生命というあらゆる可能…