地方自治体の目指すべき最上位の規範、実現すべき普遍的な価値とされる言葉。
日本国憲法第92条及び地方自治法第1条、地方公務員法第1条、地方交付税法第1条などの地方自治に関する重要な法律の目的規定において、繰り返し用いられている言葉だが、実は、憲法にも法律にも『地方自治の本旨』とは何なのか明記されていない。
日本国憲法 第九十二条 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。
一般的な学説では、『地方自治の本旨』とは、「地方自治の本来のあり方」のこととされ、「団体自治」と「住民自治」の2つの要素からなるとされている。
要するに、『地方自治の本旨』という言葉には、2つの意味の「自治」の概念が、含まれていることになる。この2つは、しばしば、車の両輪に喩えられ、一方の実現のためには他方の拡充が求められるという関係を持つ。
いわゆる地方分権において進展したのは、自治体の権限の拡充(団体自治)にかたよっているとされ、住民自治の実現(わかりやすい言葉でいえば、身近な民主主義の実現)が、今日、要請されている。