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告訴状

(社会)
こくそじょう

告訴を行う時に提出する書類。
告訴状とは通称であり、実は法令には「告訴状」という文言は出てこない*1
では告訴状とは何なのか、という事になるが、これは刑事訴訟法第241条第1項に書かれる書面の事を指したものになる。

第二百四十一条  告訴又は告発は、書面又は口頭で検察官又は司法警察員にこれをしなければならない。
○2  検察官又は司法警察員は、口頭による告訴又は告発を受けたときは調書を作らなければならない。

刑事訴訟法

これを提出する事によって告訴を行う事が出来る。
(告訴は上記引用の通り、口頭でも可能。ただし処罰の意思を表す事を忘れずに!*2

告訴状提出に対する拒否について

告訴状を提出しようとすると、警察や検察によってその提出を拒まれる事がある。
警察への被害届と違って告訴状には受け取りの義務は無いが、これは無茶苦茶な告訴状を乱発する者を想定した防御策であって、告訴の説明の要件を満たし形式が整っているのであれば、受け取らなければ担当する司法警察員検察官公務員職権濫用背任の罪に問われうるものになる。
しかしながら実の所、告訴状・告発状にも、少なくとも警察についてはその受理義務があるのである。
これについては法令のうち、警察法刑事訴訟法関連法である犯罪捜査規範に書かれており、この63条には以下の様にある。

(告訴、告発および自首の受理)
第六十三条  司法警察員たる警察官は、告訴、告発または自首をする者があつたときは、管轄区域内の事件であるかどうかを問わず、この節に定めるところにより、これを受理しなければならない。
2  司法巡査たる警察官は、告訴、告発または自首をする者があつたときは、直ちに、これを司法警察員たる警察官に移さなければならない。

犯罪捜査規範

つまり、所定の内容(犯罪事実及び告発意思(「厳正なる処罰を求めます」という様な処分の意思表示)等)が書かれていれば*3、司法警察員には法に基づいてこの受理義務が発生するのである。なお、ここで相手を完全に特定する必要は実は無く、犯罪事実について記されていれば告訴が可能である事は注意すべきであろう。つまり、「いきなり後ろから殴られてバッグを奪われた」という状況の警察への訴えは被害届だけでなく告訴(書面で提出すれば告訴状)によっても確実に行えるのである*4
(であるので、ちゃんとした告訴状を出しているのに司法警察員が「告訴状に受け取り義務は無い」等言い出したら(嘆かわしいが定番パターン)、それは警察職員でありながら刑事関係の法令に背いている事になるので、「国家公安委員会の定めた犯罪捜査規範63条から、必要要件を満たしていれば提出した告訴状には受理義務があるはずです。」と言うべきである。)
また、ここでよく告訴状を出した時に、司法警察員から「告訴状の要件を満たしていないので受理出来ません」と言われたりするのだが(受理義務の否定とともに受理拒否の定番パターンである)、ここで司法警察員には告訴状補充命令義務が存在する。
この義務についても犯罪捜査規範に書かれており、65条には以下の様にある。

(書面による告訴および告発)
第六十五条  書面による告訴または告発を受けた場合においても、その趣旨が不明であるときまたは本人の意思に適合しないと認められるときは、本人から補充の書面を差し出させ、またはその供述を求めて参考人供述調書(補充調書)を作成しなければならない。

犯罪捜査規範

つまり、司法警察員は告発状においてそれを受理出来ない場合には、何が不明であるか等を伝えて相手に補充の書面*5を提出させる義務があるのであり、よくある様に「形式を満たしてませんので送り返します。」は法的に認められないのである。
司法警察員に告訴状の提出を拒否されたら、犯罪捜査規範を根拠に押してみると扉が開くかもしれない。
それでも駄目なら各都道府県公安委員会に書面で通報を*6

参考文献

最新 告訴状・告発状モデル文例集

最新 告訴状・告発状モデル文例集

*1:法令には文言は出てこないが、行政文書には出てくる。もちろんこの単語を行政職員に使っても意味はちゃんと通じる。

*2:でないと単なる通報情報提供)として不起訴で終わる可能性が高い。ぶっちゃけてしまうと、ここで私的に録音を行った方が良い。警察の告訴告発被害届の不受理の異常なまでの執念は近年明らかに常軌を逸している状況である。嫌がらせの様な不受理や長時間の不要なやりとりが行われたら、当然これは当然公務員職権濫用の罪なので、氏名を名乗らせ警察手帳も掲示させ、後で名前も録音も公開してしまおう。刑事犯罪の報道は当然公益性があるので名誉毀損も例外適用、また公務員の行動なので職務情報に関わる職員氏名は公務に関わるものとして公開可能である(これは場合にもよるが、警察の取調べ等の場合は可能であろう。)。

*3:参考文献:告訴及び告発の取扱いについて (pdf注意)

*4:参考文献:最新 告訴状・告発状モデル文例集のP5 「4. 犯人がわからない場合の告訴・告発は」。「犯人がわからず」及び「氏名不詳」でも真犯人に対する告訴や告発として有効との内容あり。大判昭12.6.5大刑集16.906、東京高判昭28.2.21高刑6.4.367などの判例提示があり、告訴・告発の一般的解釈と察される。

*5:この書面はFAXでも充分と思われる(司法行政においても書面はファクシミリで送達する事を行っているので、社会通念的に言ってFAXで駄目だとするのは法令で改めて記述がなされているべきである。)。つまり、自宅やコンビニのFAXからすぐさま提出告訴状の訂正・補充が行えるのである。

*6:この書類には署名押印が求められるものですのでファクシミリでは駄目です。

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