類焼の危険は常にある。 大陸に戦雲みなぎれば、その影響は間髪入れず島国日本に波及せずにはいられない。 アヘン戦争がいい例だ。あれで日本の知識層らは外夷のおそるべきを知り、危機意識を過剰なまでに膨れあがらせ爆裂させて半狂乱の態をなし、ところ構わず騒ぎまくった挙句の果てが幕末の動乱に繋がった。 (会津若松城) 弧を描くように隣接している地理的事情のしからしむるところであって、もはや必然、宿命の観すら伴うと、そう説く手合いも多かろう。 ――北清事変が突発すると、ほどなくして広島宇品の港には、身体のどこかに穴が開いたり、あるいはいっそ砲撃で手なり脚なりを吹き飛ばされた紅毛碧眼の兵士らが、続々陸揚げされ…