大学の課題で書いてどこにも出ることなく眠っていたWordファイルから。一部改稿したものの、エッセイ風味がなく、真面目すぎる……(本は抜群に面白いです。必読です)。以下より本文。 少し迂遠な話から。ポストモダンの文化人類学者、ジェームズ・クリフォードとジョージ・マーカスによる『文化を書く』(春日直樹他訳、紀伊國屋書店、1986年)は、人類学のみならず、社会科学や文化研究に決定的な影響を与えたとされている。フィールドワークを通じて他者の生活を記述するという方法(エスノグラフィー)により成り立ってきた文化人類学に対する根本的な批判の書だったからだ。 以後、人類学では、誰が、どのようにエスノグラフィー…