⚫︎あらゆる物は複数の部分からなる(下方解体・還元主義)。あらゆる物は相互作用する(上方解体・ホーリズム)。しかし、下方解体によっても上方解体によっても還元されないものこそが物(対象)である。ハーマンはそのように言う。だからハーマンの言う対象(存在者)は、下方解体と上方解体の中間にある「形」あるいは「輪郭線」あるいは「外皮」あるいは「ブランク」のようなものとなるだろう。存在しない輪郭線こそが「存在(者)」である。あるいは、輪郭線を確定する主体はそれを見る者(認識論)ではなく、輪郭線そのものの方だ(存在論)、ということになる。対象のもつ「汲み尽くせなさ」や「無限の深さ」は、その徹底した薄っぺらさ…