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バーチャルアイドル

(アイドル)
ばーちゃるあいどる

生身の肉体を持たない、仮想のアイドルのこと。

バーチャルアイドルはアイドルの分類の一つではあるが、その出自、コンセプトはそれぞればらばらで、姿形一つとっても、アニメ的なものからリアルさを追求したものまで多種多様であり、生身の人間でないということ以外に共通する要素は少ない。ただ、主要なものを拾い上げていくと、ゲームにせよパソコンにせよコンピューターを使って作られるものという方向性は一応あるようだ。なお、この言葉が使われるようになった1990年代当時には、アニメやゲームに登場する人気女性キャラクター全般を指す言葉でもあった。

声に関しては、2007年に登場した初音ミクより前のバーチャルアイドルでは、声優などが演じており、声優の名前が非公開とされるものもあったものの、声を出す場合は中の人が演じているという形は明確だった。麻績村まゆ子のようなバーチャルアイドル声優として活動を始めたものの、中の人が麻績村まゆ子という名前の声優にシフトしてしまったケースもある。

1995年〜1997年ごろ

バーチャルアイドルは、1993年にコナミが始めたウィンビー国民的アイドル化計画を嚆矢とするが、注目され始めたのは1995年ごろからと言われる。当時コナミの恋愛シミュレーションゲーム『ときめきメモリアル』が人気を集め、ゲームのキャラクターがバーチャルアイドルと呼ばれタレントのような人気を集めるようになった。コナミは1996年12月以降メインヒロインの「藤崎詩織」をはじめとするゲーム内の人気女性キャラクターを次々とキャラクター名義で歌手デビューをさせている。また、このようなゲームキャラクターの人気を見て、芸能プロダクションのホリプロが1996年10月に、藤崎詩織のアニメ風の絵とは異なり、人間らしいリアルさを目指した、CGによる世界初のバーチャルアイドル「伊達杏子」をデビューさせる。こうした動きに刺激されたのか、1997年にかけ、他のプロダクションも含め、次々とバーチャルアイドルがデビューした。バーチャルアイドルという存在は社会から大きな関心を集め、1990年ごろにラジオ番組から生まれた仮想のアイドル芳賀ゆいが元祖バーチャルアイドルと呼ばれるようになったり、マクロスプラスのシャロン・アップルのようなSF作品に登場する仮想の歌手がバーチャルアイドルと言われたりもした。しかし、社会的な関心は高かったものの、こうしたバーチャルアイドルの多くは藤崎詩織のような人気を集めることは出来ず、1997年中にほぼ姿を消してしまった。ブレイクを続けていた藤崎詩織などのときめきメモリアルのキャラクターについても、その後はバーチャルアイドルという呼び方を積極的に使わなくなっていったので、バーチャルアイドルという言葉は一旦社会における存在感を失って行った。

1998年〜2002年ごろ

1998年以降、それまでとは異なり、企業の企画によらない個人製作のバーチャルアイドルがインターネット上に次々と登場する。1998年8月に漫画家くつぎけんいちが3DCGソフトShadeで作成した「テライユキ」はネット上で大きな評判を集め、2001年ごろにかけ、テレビ番組、テレビCMへの出演、写真集、CD、ミュージックビデオ、ゲームソフトなどさまざまな媒体で活躍した。テライユキがそれまでのCGキャラクターと違ったのは、多くのCGクリエイターがCGのテクニックの習得にとどまっていたのに対し、キャラクターの魅せかたを理解している漫画家が作ったためと言われる。この時期には、パソコンの性能の向上と3DCGソフトShadeの低価格化などにより、テライユキの他にも個人のクリエイターが3DCGで作成したバーチャルアイドルがネット上で多数発表された。ただし、パソコンの性能向上とは言っても、当時は個人レベルで動画を作ることは難しく、企業のバックアップが付いたもの以外は、もっぱら静止画によるグラビアアイドル的な活躍のみで、当然声も無かった。ネットでのバーチャルアイドル流行には企業も注目し、バーチャルアイドルのプロモーションを請け負う会社が現れたり、隔月刊ながらCGによるバーチャルアイドル専門のグラビア誌も登場している。しかし、多数のバーチャルアイドルが登場し、一部に商業作品に活躍の場を広げたものもいたものの、多くは人気を集めることは出来ず、テライユキを超えるヒットは現れなかった。

これより前の時代のバーチャルアイドルが、企業が生み出すトップダウン型のものであったのに対し、この時代のバーチャルアイドルはネット上でクリエイターが生み出すボトムアップ型のバーチャルアイドルであるが、Web 1.0時代の限界もあった。当時は、後のWeb 2.0時代に比べ、まだ企業がネット上のユーザーの発表する作品によって発表の場となるサイトを維持する形が確立しておらず、発表の場はもっぱら個人のウェブサイトに依存しており、現在それらのサイトはほとんど残っていない。

また、ネットの外へ活躍の場を広げる際の担い手になった企業の側も、ITバブル崩壊を経て姿を消していった。そもそも、企業がバーチャルアイドルのビジネスに手をつけたことそれ自体が、ITバブルの狂乱によるものだったといえるのかもしれない。

なお、この時代にも企業が一から企画したバーチャルアイドルはいくつか登場しており、ホリプロが伊達杏子を復活させるということもあったが、いずれも大きな話題を集めることは無かった。

2007年〜現在

2007年8月、音楽製作ソフトなどを販売するクリプトン・フューチャー・メディアが、ヤマハの歌声合成技術VOCALOIDを使用したボーカル音源「初音ミク」を、バーチャルアイドル歌手を自宅でプロデュースできるソフトとして発売する。同様の技術を使用したボーカル音源はこれ以前にも存在したが、初音ミクではソフトにアイドルのキャラクター設定し、キャラクターを歌わせるとイメージ戦略をとることで、合成音声であることによるリアリティの不足を補うとともに、ソフトを使用するユーザーのモチベーションを刺激することを狙ったのである。このように、元々はソフトの購入者に向けたイメージ戦略としてバーチャルアイドルとされたわけであるが、発売後、初音ミクを使って作られた作品がインターネット上で次々と発表され、それらが人気を集めるようになり、自宅でプロデュースされるバーチャルアイドルは、ネット上で多くのプロデューサーのプロデュースを受けて活動するバーチャルアイドルへと発展する。キャラクターの姿は、当初パッケージ他数点のイラストが公開されているのみであったが、ファンにより多数のイラストがかかれたり3DCGソフトMikuMikuDanceが作られたりと、ビジュアル面での発展も進んでいる。作品発表の場となったのは、当時登場したばかり動画投稿サイトニコニコ動画で、発表の場が存在したことも初音ミクの成功の大きな要因である。こうした人気を受けて、初音ミクを使って発表された人気楽曲でメジャーデビューする音楽家が現れたり、初音ミクのフィギュアやゲームが発売されたり、さらにはライブまで行われている。また、クリプトン・フューチャー・メディアは初音ミクの後も、「鏡音リン・レン」、「巡音ルカ」といったボーカル音源を発売しているほか、ヒットに触発されて他の会社からも多数のボーカル音源が発売されるようになった。ただし、これら多数の製品すべてまとめてバーチャルアイドルとみなす見方も無いわけではないが、実際に製品としてバーチャルアイドル歌手を自称しているのは初音ミク、鏡音リン・レン、巡音ルカだけである。

バーチャルアイドルは、企業の作るトップダウン型のものに始まり、続いて多くのクリエイターによるバーチャルアイドルの制作が流行した。現在のバーチャルアイドルシーンは、企業の用意した初音ミクなどのアイドルやニコニコ動画といった場をプラットフォームとして活用した、クリエイターによる音楽、映像作品の創作により成立していると言えるだろう。

また、企業の作ったものではないバーチャルアイドルも登場している。2008年4月1日(エイプリルフール)に発表された「重音テト」は、初音ミクのパロディとして2ちゃんねるの有志によって作られたもので、フリーの歌声合成シフトUTAUに対応した音源も作られ、ニコニコ動画などで活躍している。UTAUは、対応する音源を個人レベルでも制作でき、これにより膨大な数のキャラクターが登場するようになっている。

ボーカル音源のバーチャルアイドル以外では、2010年にキングレコードより「メーウ」が、旭プロダクションよりバーチャルアイドルユニット「AGC38」がデビューした。

なお、初音ミクの登場と同時期に、伊達杏子がまたしても復活し活動を再開したが、やはり成功することなく消えていった。

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