Nouveau roman
1950年代のフランス小説において以降に盛んになった、現代文学における最も重要な潮流の一つであり、18・19世紀的な近代小説の仕来たりを解体し、文学言語の革新や複雑な語りの構造、あるいは内面描写や物語性の否定などありとあらゆる手法によって新たな方向性を目指した。この名称はロブ=グリエによるものである。
代表的な作家としてはアラン・ロブ=グリエ、クロード・シモン、ミシェル・ビュトール、ナタリー・サロートなど。サミュエル・ベケットやマルグリット・デュラスの小説も含まれる場合がある。
彼らの作品はミニュイ社から出版され、1950・60年代に毀誉褒貶の激しい反応を受けた。当時を代表する批評家であったロラン・バルトは1954年に「容体的文学」という評論を書いてロブ=グリエの『消しゴム』を評価し、1956年には「新々フランス評論」というロブ・グリエ自身がこの潮流を擁護したポレミカルな評論を書き始めた。また、映画監督であるアラン・レネはロブ=グリエの協力によって「去年マリエンバートで」という時間・空間の錯綜する映画を創造し、今日に至るまで消えることのない衝撃を放った。