狭き門 (新潮文庫)作者:ジッド新潮社Amazon 好きなものを好きと言い、嫌いなものを嫌いと言う。あたりまえのことみたいだけど、そうでもない。いちばんほしいものを目の前にして、それがほしいということができない人って、けっこういるんじゃないかと思う。たとえば、ケーキ屋さんなんかで、ショーケースを見た瞬間、いちばんほしいものが目に飛び込んでくる、それなのに、体が勝手に反応して、二番目、三番目を指さしている。「これください」と言っているぼくは、心の中で「違う。それじゃない」と叫んでいるのだ。これを聞いてばかじゃないかと思う人は幸せである。皮肉でもなんでもなく。自分で分析してみると、いちばん好きなも…