残念なことと言うべきか、現在もなお世界には不相当な不平等が残っており、それどころか、ピケティやスブラマニアンの説明が正しいとするならば、むしろ不平等は拡大しており、そのためか、勢いマルクス主義の思想的魅力に惹きつけられてしまう者が一定数存在することは理解できないわけではない(と言っても、とりわけピケティの主張には俄かに同意しがたい点があるのだが、それはここでの主題ではない)。 ところで、乱暴に言い切ってしまうならば、古典派の伝統とは、完全競争、限界収益生産物が支払われる要因を伴う生産物の枯渇、その結果として利益がゼロになることを前提とする考えに立脚しており、これは裏返してみれば、競争均衡が達成…