「知の泉」たる図書館あるいは埃を被った我が書棚。ゆっくりと利用し再び手に取ってみよう。捜している何かが、素敵な言葉が表現が、見つかるかもしれない。さて今日は… ●「しろばんば」井上靖著 新潮文庫 昭和40年 中学生の頃に読んだ「井上靖」の自伝的諸小説といわれる「しろばんば」を再び読んでみようと思ったのは入院生活の手慰みだった。 初めて読んだのは小学生だった。この本は分厚く読むのに時間がかかったと記憶している。狩野川、安倍川、大井川。地理がすでに大好きだった自分には主人公とばあやの汽車旅の描写とそこで出てくる川の名前と見知らぬ風景に興味があった程度だった。むしろ高校生の頃に手にした続編ともいえる…