詩人、(1886-1942)、群馬県前橋市出身。
室生犀星と「感情」を創刊。特異な感覚の新しい口語詩の世界をひらいた「月に吠える」に始まり、虚無と倦怠の「青猫」を経て文語詩「氷島」に至る詩業は、近代抒情詩の頂点といわれる。他にアフォリズム「新しき欲情」、評論「詩の原理」など。
なお、小説家・ダンサーの萩原葉子は娘、映像作家の萩原朔美は孫。
また、片山恭一先生のベストセラー『世界の中心で、愛をさけぶ』の主人公は、萩原朔太郎にちなんで、「朔太郎」と名づけられた設定になっている。
日本民俗学の父といわれる柳田國男(やなぎた くにお)さんは、萩原朔太郎『青猫』に収められた「自然の背後に隠れて居る」という詩を好んでいたようです。(菅野覚明著「柳田國男」のあとがきより) 草むらの影、地平のかなたに「見えない生き物」の存在を感じ、怯えているのにそれに惹かれてしまう子供の心持ちが、そこでは語られています。 日本人すなわち「我々の父祖」は「何を信じ何を怖れ」て生きてきたのか。 柳田國男氏がそれを尋ねる営みは、彼らが実在を信じた妖怪と神々、死者の霊との関わり、自然環境との交感へと視線を伸ばしていきます。 Monikaさんによるpixabayからの画像 私が小学生の頃、私の家は賑やかな…
読書日記 2024年2月7-13日 ・ヴィクトル・ユーゴー(豊島与志雄訳)『レ・ミゼラブル(完全版)』(後半) ・龍門諒、恵広史『BLOODY MONDAY』6-11巻 ・ダンテ・アリギエーリ(平川祐弘訳)『神曲 地獄篇』 ・ダンテ・アリギエーリ(平川祐弘訳)『神曲 煉獄篇』 ・ダンテ・アリギエーリ(平川祐弘訳)『神曲 天国篇』 ・岡野宏文、豊崎由美『百年の誤読』 ・岡野宏文、豊崎由美『百年の誤読 海外文学篇』 ・滝沢秀一『やっぱり、このゴミは収集できません~ゴミ清掃員がやばい現場で考えたこと~』 ・伊坂幸太郎『チルドレン』 ・萩原朔太郎『詩の翻訳について』 ・中島敦『山月記』 以下コメント・…
萩原朔太郎の第1詩集『月に吠える』(1917年)は、大正口語自由詩を代表する作品としてよく知られる。 この詩集に頻出するモチーフの1つが、タイトルにもなっている「月に吠える犬」「病める犬」だ。 月に吠える犬は、自分の影に怪しみ恐れて吠えるのである。疾患する犬の心に、月は青白い幽霊のやうな不吉の謎である。犬は遠吠えをする。 (「序」『月に吠える』) 本稿で調べたいのは、「月に吠える獣(狼/犬/その他)」というモチーフの歴史的形成である。朔太郎の詩全般がそうであるように、「月に吠える犬」という一見なんということもないモチーフもまた、明治維新以後の文化交渉(東洋/西洋、都市/地方など)の中で生まれた…
フランスの新首相に任命されたカブリエル・アタル氏(Gabriel Attal) 若くてイケメンでLGBTのフランス新首相 私がフランスについて知りたいこと アタル氏起用はマクロン大統領の秘策らしい 若さと容姿では現芦屋市長に期待する 若くてイケメンでLGBTのフランス新首相 1月9日、フランスでは8日に辞任したボルヌ首相の後任として、ガブリエル・アタル氏(Gabriel Attal)が任命された。 御年34歳ということで、1984年に37歳10か月と28日で首相に就任したローラン・ファビウス氏を抜いて、フランス第5共和政下では、最年少の首相となる。 それだけでは、私も「ははーん、そうですか、お…
(左川ちか 黒衣の明星展) ★左川ちか 黒衣の明星展 北海道立文学館、2023年11月18日(土)-2024年1月21日(日) (WEBサイト→) www.h-bungaku.or.jp 左川ちか(さがわちか)は、1911年(明治44年)北海道余市町生まれ。本別町で幼少期を過ごし、庁立小樽高等女学校(現在の小樽桜陽高等学校)に進学。卒業後は上京し、兄の昇やその友人で同郷の伊藤整らとともに、新しい詩のかたちを求めて翻訳や詩作を始めました。故郷の景色を詩想へと昇華しながら、ジェイムズ・ジョイスやヴァージニア・ウルフなどの翻訳を時代に先駆けて行った左川ちかは、優れた言語感覚と独自の美学によって当時の…
12/21 09:45 p.m. 今週は仕事があまりなさそうだ。 朝起きて太極拳をする。マンションのエントランスで初めて太極拳をやったけど、案外いいんじゃないかこれ? 体調が悪いので作業を後回しにしてプールで泳ぐ。左の首がちょっと痛い。不安を不安だと認識しないように脳を使う。案外修行すればできるものだ。身体については考えない。持病を抱えてる者にとってはこれが1番大事。 青空文庫で萩原朔太郎「喫茶店にて」/坂口安吾「暗い青春」「私の葬式」を読んだ。 萩原朔太郎は詩も好きだけどエッセイも彼の感性が存分に発揮されていて、なおかつ読みやすくていい。さらに、青空文庫で大量に作品を読めるので人にも勧めやす…
文学作品6作とヨルシカのコラボ楽曲、両方に触れて感想を書いてみる企画。第三弾は、萩原朔太郎『月に吠える』とヨルシカ「月に吠える」です! 国内外含めた新潮文庫の文学作品6作を読み、それを元にしたヨルシカのコラボ曲を聴いて、それぞれの感想を書いてみようという試みになります。 コラボの詳細は下記の記事を参照。 spice.eplus.jp 第三回となる今回は「月に吠える」ですね。こちらは他の5作品とは異なり、小説・童話ではなくて詩の形態をとっています。お恥ずかしながらわたくし、こういう記事を書いているにも関わらず、いわゆる文学作品というものにあまり触れてこなくてですね。そのうえ詩となると、もうからっ…
宝塚記念。上半期の総仕上げ。これが終われば夏競馬開始。なんか荒れるイメージの福島競馬場とかあるし、ここでしっかり当てておきたい。 なんて思いまして、わりと素直に買おうと。素直に狙うとなると、どうやってもイクイノックスは外せない。これを外したワイドを狙おうかと思ったものの、それは無いだろってんで、イクイノックスを軸に3連複フォーメーションで狙うことにしましたとさ。 相手はってんで、ダノンザキッドとディープボンド。3頭目にジャスティンパレスなど。 スルーセブンシーズは迷ったんです。最初は入れてたんです。けど、切っちゃたんです。何ででしょう? もう昨日に戻って自分を止めたい。やめろ、買い目はそうじゃ…
室生犀星の随筆を読んでいると、彼と親交のあった萩原朔太郎の話題がたびたび出てきます。同時代を生きた2人が嫉妬のような黒い感情にとらわれずに親愛を交わしている様子が感じられて、ほっとします。2人とも孤独を背景として作品を作りながらも、それとの向き合い方がずいぶん異なっているように感じます。だからこそぶつかり合わずに済んだのかもしれません。 室生の随筆に引用されていた、萩原の短文があります。『病気の狼』と題された文章です。これを読んだときに、まるで自分のことが書かれているような気がしてはっとしました。 孤独に慣らされた狼は、月の夜に、白くつもった雪の上を歩くのを恐れるのである。何故と言えば、白く光…
心は言葉によって育まれると考えています。 何気ない一言に慰められるときもあれば傷つけられるときもある。 街角の広告の一文に心打たれたり、ふと開いた1ページに気づきを得たりするときも。 歌に聞き入ることで悲しみを和らげ、腹の底から歌い上げることで苦しみを乗り越えた人も少なくないでしょう。 言葉を知り、言葉を使うことで心は強く、しなやかになっていくのでしょう。 心について考えるとき、萩原朔太郎の『こころ』を胸で諳んじます。 こころをばなににたとえん こころはあじさいの花 ももいろに咲く日はあれど うすむらさきの思い出ばかりはせんなくて。 こころはまた夕闇の園生のふきあげ 音なき音のあゆむひびきに …
・桜の色は、桃というには薄すぎるし白と言うには色づいている。境界をなぞる曖昧な色彩は、まさに桜色と表現するに相応しい。 ・桜はそのテキスト性が強すぎて、(出会い、別れ、始まり、終わり、憂鬱)"桜自体"を評価することが少ない。 テキストばかり見てきたけれど、この頃初めて綺麗だと感じることが出来た。自分の中の変化を感じる。 ・好きな言葉。「生命には成長がない。(中略)老いは成長でもなく退歩でもない。ただ「変化」である。(中略)然り!生命はただ変化である。」萩原朔太郎の青猫から。 ・我々に成長はなく、ただ変化、それのみがある。 粗暴な若者が思慮ある壮年に変わったとして、粗暴ですらも人間の価値の一側面…
作者の小野塚力さんから、評論集 『第三の磁場』〜辻野久憲試論〜を御恵投いただき、早速読ませて頂いた。 二十八年という短い生涯の中で、早くに、梶井基次郎、堀辰雄、宇野浩二らと交わり、萩原朔太郎に師事した、今では忘れ去られた作家、辻野久憲について書かれている。 作者の小野塚力さんは、私を私小説の沼に引き摺り込んだ師匠で、まぁ、いつも面白い作品を紹介して、読ませたくなるように仕向けるそそのかせ、が本当に上手い。 本書もその得意技が至る所で炸裂している。 宇野浩二あたりならば、江戸川乱歩、横溝正史好きなら、エッセイから手繰り寄せて、ギリギリ現代でも読まれる作家ではあるだろうけど、その周辺であった辻野久…
世には二種類の人間がある。一方の種属の者は、いつもムダな死金を使い、時間を空費し、無益に勢力を消耗して、人生を虚妄の悔恨に終わってしまう。彼らは「人生の浪費者」である。反対に他の者は、物質上にも精神上にも、巧みにそれの最高能率を利用して、人生を最も有意義に処世する。彼等は「人生の所得者」である。ところでこの前者の範疇は僕(萩原朔太郎)であり、後者の典型は室生犀星である。自ら風流人を以て任じ、且つ風流の幽玄な哲理をよく説いている。僕は風流について深く知らない。「ムーンライト・セレナーデ」のお時間です。さて、これを読んで私は何れの者に属するのかと考えてみれば、やはり朔太郎の種類に与するものであるか…
桜鑑賞と登山のため、群馬県の妙義にやって来ました。 まずは、妙義神社にお参り。 ここは桜の名所とは思っていなかったのですが、ソメイヨシノも枝垂れ桜も見頃を迎えていて、見事。 そして、石垣も見事。神社というより城にしか見えないのですが、元々は城だった、というわけでもなさそう。 本殿は意外にも、日光東照宮のような絢爛さでした。 神社の裏手から登山道が始まります。 4時間の周遊コースの予定でしたが、案内所で聞くと通行止め箇所が多数あり、行けないとのこと。 とりあえず行ける所まで、ということで出発。鉄製の階段が通行禁止になっており、行けたのは第2見晴まで。ここまでの道は比較的緩いのですが、、 第2見晴…
これまでに萩原朔太郎が大正十二年の『青猫』に続いて、同じ新潮社から『蝶を夢む』や『抒情小曲集』、また室生犀星のほうは十一年に『田舎の花』を刊行していることを既述しておいた。しかし犀星は朔太郎と異なり、それまでに大正九年の『性に目覚める頃』を始めとして、やはり新潮社から『結婚者の手記』『蒼白き巣窟』『美しい氷河』『走馬燈』といった小説集を出し、作家としてもデビューしていたのである。 それは詩集の出版が朔太郎とのコラボレーションによっていたように、小説を書くことは『愛の詩集』の上梓をきっかけにして、芥川龍之介や谷崎潤一郎と知り合った影響も大きいと思われる。犀星は『自叙伝的な風景』において、最初の作…
「テルーの唄」の元ネタを見つけた。萩原朔太郎の「こころ」だ。 こころ こころをばなににたとへんこころはあぢさゐの花ももいろに咲く日はあれどうすむらさきの思ひ出ばかりはせんなくて。 こころはまた夕闇の園生のふきあげ音なき音のあゆむひびきにこころはひとつによりて悲しめどもかなしめどもあるかひなしやああこのこころをばなににたとへん。 こころは二人の旅びとされど道づれのたえて物言ふことなければわがこころはいつもかくさびしきなり。 テルーの唄では、「心を何に例えよう」の直後に「花のようなこの心」であったり「鷹のようなこの心」であったりもうすでに例えているのがいつも不思議だった。直喩、隠喩、など表現方法は…
前々回の新潮社の「現代詩人叢書」に室生犀星の『田舎の花』が含まれていることを示したばかりだが、これも犀星が萩原朔太郎と同じ詩話会で『日本詩人』の編集に携わっていたこととリンクしていよう。 しかし犀星の処女詩集『愛の詩集』は朔太郎の『月に吠える』がそうだったように、大正七年に感情詩社から刊行されている。それらの経緯と事情を記せば、同五年に朔太郎と犀星は詩雑誌『感情』を創刊し、八年まで全三十二冊が出された。発行兼編輯人は室生照道=犀星で、感情詩社からの発行だった。それもあって、犀星の『抒情小曲集』と『第二愛の詩集』も続刊され、感情詩社は所謂プライベートプレスにすぎなかったけれど、これらの詩集を出版…
ミネルバの梟は必ずしも哲学者の窓でばかり鳴くのではない。それはいつも「考へる人」の窓を暗くする。なぜといって「考へる」といふことは、それ自ら人生を重苦しいものにする何かの重鬱をもつてゐる。 萩原朔太郎「新しき欲情」 ※この箴言「ミネルバの梟」は高校時代に知っていた。70年目に義弟から今日聞いて感慨無量である。今日はいい日だ。
一日雨だった。そこそこ強い雨の時間帯もあったので、桜は散っちゃったかもしれない。今週末花見なんだけどな。ちょっとは生き残っていてくれ。 重めのストレスが投下されて、耐えきれずに電話で助けを求めてしまった。いつもなら散歩しながらアレコレ考えたり、ジョギングで気分転換したりして感情を整理するのだけど、今日は天気的にそれが難しかったので、「助けてくれ〜〜」という感情を突然電話で投げつけてしまった。大反省。 みんなそれぞれストレスと戦いながら、散歩したりコーヒー飲んだり、映画見たり音楽聴いたりで、そうして絶妙なバランス保って過ごしているのに、いきなり平穏を切り裂くようなことをしちゃいけない。苦しむ人間…
更新: ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 詩と思想新人賞、現代詩手帖賞、ユリイカ新人、ココア共和国 詩人会議新人賞 HP現代詩投稿欄 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ (※このブログはアフィリエイトしています。) 詩の賞は、大きなものは詩集単位での応募がほとんどです。 つまり応募するのに詩集を作る必要があります。 一篇の詩から応募できるものは: 詩の雑誌での毎月の(季刊なら季節ごとの)投稿で、 年間通して優秀な新人を選ぶもの、 または都道府県、市町村が開催する賞にもあります。 NEW!詩と思想新人賞 第32回受賞者 一史(かずし)さん「公転軌道」…
★★★ 2024年3月20日(水) シネヌーヴォX 濱口竜介の作品に助監督として参加していた高野徹の初長篇作品、だそうだが1時間ちょいの中篇で、それが4つの掌篇からできている。 なんでも高野のインタビューを読むと、パリに留学中に幾つかの短編を撮り、その中の1つが出来が良くて公開したいなと思ったが短かすぎるので新たに3つの日本での話を創作したとのことで、それが女優のマリにまつわる話で、パリで撮った短篇は、そのマリが監督しようとしている(或いは監督した)映画として4本目に配置された。 で、結果として、やっぱ4つ目の挿話が最も強度がある。まあ、強度があると言っても、フランス人の男女が林の中を散策しな…
金曜日は所用で窓展に参加できず、2日目の土曜日に赴く。強者どもが夢のあとで、ぺんぺん草も生えないような状況かも知れないが、まあ落穂拾いくらいはできるかなと夕方に会場へ。それでも50分くらい見て回る。 あきつ書店、かわほり堂あたりをじっくりと見ていく。ああこれは今度の原稿で使えるな、これはあれで…などという形で古書を買うのは少し残念というか、ただ欲しいで買うのとはまた少し違うニュアンスがある。で、結局購入したのは以下。 緒方維嶽「シルレル」(民友社)明治29年5月4日400円 竹越与三郎「マコウレー」(民友社)明治26年8月22日400円 岩本吾一「訂正増補 通俗男女造化機論」(金桜堂)明治20…
萩原朔太郎も昭和三年に第一書房から新菊判、総革金泥装の『萩原朔太郎詩集』を刊行している。これは前々回にふれた大正末の『上田敏詩集』や堀口大学訳『月下の一群』などの第一書房ならではの特装本で、萩原の『月に吠える』に始まる詩集の集成だった。それをきっかけとして、萩原は第一書房から『氷島』という詩集だけでなく、『詩の原理』『虚妄の正義』などの評論やアフォリズム集を刊行し続けていくことになる。大正時代には新潮社から詩集『青猫』や『純情小曲集』を上梓していたので、第一書房へと版元を移したといっていい。そこに至る詩集出版の系譜と変容を見てみたい。 (新潮社版) 萩原の『月に吠える』や『青猫』も日本近代文学…
菊地 真・萩原 雪歩 twin live “はんげつであえたら” 3月16日~17日に、菊地真と萩原雪歩の2人が登場する映像式LIVEが、群馬県前橋市で開催されました。 私は土曜公演(友藍)と日曜夜公演(純藍)は現地、日曜昼公演(悲藍)は配信で参戦しました。 LIVE自体の参戦記はこちら 移動経路について 以前に前橋に行ったシンデレラガールズSS3A(2018.9.8~9.9)のときは、交通費を浮かせるのと観光を兼ねて、「名古屋→長野→高崎→前橋→高崎→東京→名古屋」と移動していた。ただこのときは翌日に休みを取って東京にも立ち寄る想定だったのに対し、今回は翌日は休みは取れなかった(ただ、出勤時…