伊予の万葉歌にある「臣の木」は「樅の木」でだいじょうぶ? 『万葉集』の山部赤人の長歌には伊予の湯を詠んだものがありますが、そこに「臣の木」が登場します。「臣の木」は『万葉集』や『伊豫国風土記』逸文に舒明天皇の大殿戸の木や鳥が登場するので、赤人の歌はその話を下敷きにしたものではないかという説もあるようです。確かにそうかもしれません。 山部赤人の万葉歌(巻三 322)は次のようです。 山部宿禰赤人、伊豫の温泉に至りて作る歌一首 并に短歌 皇神祖(すめろぎ)の 神の命の 敷います 國のことごと 湯はしも 多(さわ)にあれども 島山の 宜しき國と こごしかも 伊豫の高嶺の 射狭庭(いさにわ)の 岡に立…