歴史の真実から,現代に優生思想を問い直す優生学は過去のタブーか.ナチズム=優生学だったのか.福祉国家北欧や戦後日本の優生思想とは.新しい優生学とは.遺伝子技術の時代を考えるための必読の書――. 先見の明をもつ一部の人々に引きずられる大衆.その構図が崩れぬ限り,疑似科学を拝する人々が再生産されていくのも,自然の理というほかはない.1920-1930年代の多くの遺伝学者がソ連で活動を制限されたのは,ロシア共産党から「ブルジョア観念論」というレッテルを貼られたためであった.科学論を装った「まがいもの」が政治体制に結びついたとき,優生思想と抹殺が引き起こされていく.キリスト教ファンダメンタリストたちの…