オートポイエーシスの専門家 東洋大学文学部教授
「オートポイエーシス―第三世代システム」 (asin:4791753879)
「オートポイエーシス2001―日々新たに目覚めるために (ワードマップ)」 (asin:4788506998)
「オートポイエーシスの拡張」 (asin:4791758072)
「哲学、脳を揺さぶる オートポイエーシスの練習問題」(asin:4822245683)
ホモ・エクササイズ――生き抜くことへの賛歌(2/7)
本文 ひとまず解離を意識が狭窄した特殊な注意状態と定義する事が可能かもしれない。そしてシモンドンの系統発生と特異性、ドゥルーズの潜在的/現働的を考慮して意識を考えるならば、自我境界自体が内部/外部を知覚する器官となり、そこに自我/対象備給が関連する。その上で解離障壁について考察できる。 注意の源泉を傾向や志向性にみるならば、面前に現れる現働的な分化/組織化の潜在的にあるものが、傾向や志向性を表現しながら充足へ向かっていると考えることはできないだろうか。その過程から意識が生じるなら、解離は意識的な体験から離脱することで意識に体験させない機能を持っていると考えられる。 意識を体験から離脱することで…
とつぜん、得体のしれない道具を手渡される。何に使うのか、何が出来るか、まったくわからない。とりあえず触ってみる。可動部分を動かしてみたり、凸部を押してみたりする。すると何らかの状態変化が起こり、それを繰り返しているうちに、何に使えるものかがおぼろげにわかってくる。ここを押すと光るので照明として使えるとか、ここを引っ張るとラジオの音声が聴こえてくるとか、いくつかの用途を知ることができた。もちろん全容はわからないし、他にも出来ることがあるのかもしれないが、とりあえず探しあてた機能をくりかえし使うことはできる。それによって照明を得たりラジオで情報を得たりできることを知る。そんな風にして、手探りでじょ…
生まれ生まれ生まれ生まれて生の始めに暗く死に死に死に死んで死の終りに冥し(空海『秘蔵宝鑰』) この言葉を私が知ったのは、黒井瓶(旧名:黒井マダラ)氏の「無何有塔」という曲を聴いたときである。今はもう聴けない(所有していない)曲だが、当時、九州の田舎にいた私はこの曲で、東京という活動態を直観していた。おぼろげながらに記憶に残る歌詞が事あるごとに脳内に響く。 高く塔を建てよ僕らの声が この世界中に届くように 三千世界の梅の花が盛大に開く見ときな 乱世も救済の兆しだサイゼの隅から始まりだ 何度も建て増しされた駅の構内で疲れがどっと湧き出した 目の前を歩く鳩に話し掛けたそしたら「子曰く」 済世。この曲…
昨日、三鷹の天命反転住宅に行って来た。 荒川修作の名を知ったのは数日前だ。 オートポイエーシスについて知りたくて、河本英夫さんの本をあれこれ見ている時に、その奇天烈な建築を知った。 岐阜と愛知に大掛かりな魅力的な施設もあるが、距離的に現実的に見られそうなのは三鷹のこれだな…と思ってホームページを見たら、荒川修作のドキュメンタリー『死なない子ども』の上映会の企画があった、即日申し込んだ。 荒川修作の名を知ったその日だ。 この家は息子にも見せたい… そう思って誘ったが、募集定員が10人と言う少なさだったので、息子は遠慮すると… まあ、そうか…特に興味のない人が是非見たいと思ってる人(もし居たら)の…
うかうかしていると消費コンテンツまとめが1年遅れになりそうなのでテンポよく消化していきます。 メディア別リスト 漫画(6冊) 書籍(5冊) 映画(1本) アニメ(24話) 資格(1個) 良かった順リスト 人生に残るコンテンツ 消費して良かったコンテンツ 消費して損はなかったコンテンツ たまに思い出すかもしれないくらいのコンテンツ 以降の人生でもう一度関わるかどうか怪しいコンテンツ ピックアップ 水星の魔女一期(全12話) データベーススペシャリスト 竜とそばかすの姫 新米錬金術師の店舗経営(全12話) 無敵の筋トレ食 僕のヒーローアカデミア(31~36巻) 史上最強のFP3級テキスト 22-2…
71. 百田尚樹『風の中のマリア』(講談社文庫) 再読したい度:☆☆☆★★ オオスズメバチの働き蜂が主人公の、異色の物語。今回は珍しく、蜂の世界の話であるという前提条件は知った上で購入した。オオスズメバチに関する知識不足も手伝って、初めは世界観に入り込みにくかったが、詳しい描写や学術的説明が要所で登場するので、すぐに慣れる。 学術的説明と述べたが、本作はまさに、今までに出会ったことがないタイプの小説だった。半分小説で、半分科学読み物なのだ。創作的であって学術的。蜂が主役なのだがら、想像の世界ではあるが、完全なファンタジーではなく、むしろドキュメンタリーではと思えてくる。巻末の参考文献にあたった…
小説 フローベール『ボヴァリー夫人』芳川泰久訳、新潮文庫、2015年。 文学関係 Gérard Genette, Narrative Discourse: An Essay in Method, translated by J. E. Lewin, Ithaca: Cornell University Press, 1980. 和訳(花輪光、和泉涼一訳『物語のディスクール——方法論の試み』水声社、1985年)もありますが、入手しづらかったので英訳版を読むことにしました。 Seymour Chatman, Story and Discourse: Narrative Structure in F…
7-5-3)意識とオートポイエーシス理論 意識の拡大に関しては、ウィキペディアの「オートポイエーシス」理論内「心的システム」頃に、「感知しうるものだけが心的システムの構成素」であり「心的システムはみずからの作動をつうじて、感知しうるもの/しえないものの境界を区切るのである」し「心的システムはオートポイエーシスシステムの本性にしたがって、かたちを自在に変えながら作動を反復するのだから心的システムの境界は大幅に変動しうる」とあります。 なお感知してそこに意識が集中することが執着です。あらためて執着とは、雑念や煩悩のように、心を捕らえてそれに心が執着する対象を指し示します。心を河の水のように常に流れ…
今朝も五時四十分起床。昨夜のランニングの疲労が残っているのは暑さと湿気で体力を奪われていたからか、それともまだ風邪を引きずっていたからか。のそのそと身支度。 日曜だが、仕事、金曜日に書いた某案件の原稿のチェック、先週の取材の録音データの整理など。暑くてはかどらない。 夕方、妻とウォーキング兼買い出し。あちこちで薔薇とクチナシが終わりを迎え、アジサイは盛りを迎えている。これが終わると、葵やふそうの季節が来る。 稲垣諭「「くぐり抜け」の哲学(10)男性性をくぐり抜ける(1)」(「群像」2023年7月号掲載)。安吾をヒントにした男性性についての考察。今風に考えると、安吾はクズでとんでもないモラハラパ…
山口裕之『ひとは生命をどのように理解してきたか』(41) 今回は、第4章 機械としての生命 第4節 さまざまな力学系モデル の続き「オートポイエーシス・システム」(p.217~)である。 部品を一つの機械に組み上げる時に、我々はその機械の目的を意識せざるを得ない、機械に目的を与えるのは、製作者である人間である。それに対して、生物がその発生過程において自らの身体の輪郭を構成していくとき、部品を組み合わせて行く目的は外在的な誰かが与えるものではない。「だからといってその生物自身が自分の身体を組み立てるわけではない」と思われるかもしれない。そこで言うべきことは組立途中の機械はまだ機械ではないが、発生…
五時四十分起床。朝のうちは雨足が強かったが次第に弱まり、午後には一度やんだ。しかし夕方には再び降りはじめている。この変化、いかにも梅雨らしい。 午前中は仕事。某不動産系案件。 午後は疲労がピークだったので休むことに。二時間ほど横になり、夕方からはYouTubeでヨガ。カラダが凝り固まっていたようで、ほぐれた感覚はあるのだが、急に血流がよくなったせいだろう、貧血っぽい感じ。吐き気も感じている。 www.youtube.com www.youtube.com 稲垣諭「「くぐり抜け」の哲学(10) 男性性をくぐり抜ける(1)」(「群像」2023年7月号掲載)。バタイユと安吾をヒントにした、男性の持つ…
・ クルアーン入門 松山洋平 編 2018 作品社 ¥2,200 ・ 白川静読本 2010 平凡社 ¥800 ・ 政治の論理と市民 高畠通敏 1971 筑摩書房 ¥1,500 ・ 創造的想像力 増補版 マイケル・ポラニー 慶伊富長 2007 ハーベスト社 ¥1,000 ・ 「する」と「なる」の言語学 言語と文化のタイポロジーへの試論 池上嘉彦 1984 大修館書店 ¥1,000 ・ 歴史と構造 マルクス主義的歴史認識論の諸問題 叢書・ウニベルシタス アルフレート・シュミット 花崎皋平訳 1977 法政大学出版局 ¥800 ・ 来たるべき内部観測 一人称の時間から生命の歴史へ 講談社選書メチエ …
浅田彰『構造と力』といえば、ポスト構造主義の前史から当時の最前線までを扱った優れた思想史の書と見做されており、実際に紙幅の多くはラカンやドゥルーズ=ガタリといったポスト構造主義者の理論に対する議論に充てられている。だが本全体の底流にはマックス・シェーラーやゲーレンらの人間学、またシュレディンガーやウィーナーらの生命論といった文脈が流れていることを、ある人は微かに感じ、またある人は強く意識するであろう。 蛮勇を畏れずに要約するならば、ここで用いられる人間学とは「ヒトは本能を失った生き物であり、それを補うために文化を創造した」というテーゼであり、生命論とは「生命とは負のエントロピーを摂取することに…