落語の数ある噺のなかにもヒーローものとでもいえる噺がいくつかあります。この噺はそんなヒーローもののなかでも出色したでき栄えの傑作となります。 落語の世界で語られるヒーロー(あるいはアンチ・ヒーロー)とは、どのような人物なのか? そして演題に冠された「居残り」とは、いったいどういうことなのか? まずはこの疑問をとば口に、このお噺しを一聴してみることをおすすめします。 ◾️ あらすじ 胸に患いをもつ佐平次という遊び人。 この病の保養には、潮風に陽光、魚介も美味い、海の近くがいいということで、仲間三人と連れ立って品川の女郎屋(じょろうや)へあがるところから噺は始まる。 まずは仲間とどんちゃん騒ぎ。 …