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暴力装置

(社会)
ぼうりょくそうち

国家権力が軍隊や警察といった暴力を行使できる組織を配下に置き、必要に応じて発動できる状態などに用いられる社会学の用語。

国家権力を「装置」といったモノに例える表現はカールマルクスが『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』においてStaatsmaschinerie(独:国家機構)や単にMaschine(独:機構)として用いている。

Alle Umwälzungen vervollkommneten die Maschine statt sie zu brechen.
(すべての変革は、この機構を打ち砕かずに、かえってそれをいっそうに完全にした。)

Karl Marx - Der achtzehnte Brumaire des Louis Bonaparte - VII

Maschine(独)は英語のMachineであり、日本語では一般にマシン、機械などと訳される。

これを受けレーニンは「国家と革命」のなかにおいてブルジョアジーのための国家を表現するにあたって「чиновничьего и военного аппарата」(露:官僚・軍事装置)という語や「организация насилия」(露:暴力組織)という語を用いている。また「ЧЕМ ЗАМЕНИТЬ РАЗБИТУЮ ГОСУДАРСТВЕННУЮ МАШИНУ?」(露:壊れた国家機構を何と取り換えるか?)というように革命後の国家形成を機械の交換のようなニュアンスで表現している。(http://magister.msk.ru/library/lenin/lenin007.htm)

日本においては左翼理論家・運動家だった神山茂夫(1905-1974)がマルクス、レーニン、スターリンの革命的国家理論の理解のための総括の中で「暴力装置」という語を用いた。

国家は具体的は暴力装置、即ち常備軍、警察等、監獄等によって構成され、

天皇制に関する理論的諸問題(S22.6.5,P.20)

(※原文は旧字体。)

 

ちなみにヴェーバーの著書「宗教社会学」にGewaltapparat(独)という暴力装置と訳せそうな単語があるが、社会の中における宗教のありかたについての文脈で用いられており、訳書では単に「権力機構」と訳されている(宗教社会学 創文社 p.358)。

2010年11月18日、菅内閣の仙谷由人官房長官は参院予算委員会にて「暴力装置でもある自衛隊」と発言し、多くの野次が飛んだ。これについては基本的にこの語が自衛隊が違憲であるとして批判される際に使用されてきた経緯による。仙谷は当日発言を謝罪、撤回した。
asahi.com(朝日新聞社):仙谷氏「自衛隊は暴力装置」 参院予算委で発言、撤回 - 菅政権

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