日本国史略。国史略とも。
巖垣松苗著*1、明治年間刊、全五巻、天地創造から後陽成天皇の聚楽第行幸(1588年)迄の天皇を中心にした歴史や論評を付すの漢書。
六国史と日本紀略をダイジェストした上に、先代旧事本紀の影響もみられる。大鏡、軍紀物語、野史など信憑性が低い記事をも取り込む傾向もあって、そして天皇の絶対性に拘る性格も感じられる*2。
書中凡例、「自天照皇太神創業垂統、而神武天皇初都中國一統天下、歴正天皇正統一系、亘萬世而不革、天下即一人之天下。*3。」との一節がある、「萬世一系」思想との関わりも指謫される。