経済学者、学習院大学経済学部教授。1942年10月3日大阪府出身。東京大学大学院経済研究科博士課程修了後、上智大学教授などを経て、現職。専門は金融、都市経済学。 1990年代、マネタリーベースの能動的な操作性を否定する翁邦雄氏(日本銀行)との間で繰り広げられた「翁−岩田論争」(第二次マネーサプライ論争)によって、経済論壇の主役に。近年では日本におけるリフレ派経済学者の中心的な存在としても活躍しており、一般向けの経済解説書を多数執筆するなど、精力的な活動を続けている。
「ウィズ・コロナ」に向けて社会が大きく動こうとする今、筋金入りのリベラリスト経済学者たちによる時宜を得た対談集が出た。 彼らの基本的な立場は、ミルトン・フリードマンの定義による「新自由主義」と言っていいだろう。驚くほど簡潔にまとまった定義だ。 「個人の活動に事細かに干渉する国家権力への厳しい制限を重視しつつも、同時に国家が果たすべき重要な望ましい役割があることを明確に認識すべきである。このような考え方がしばしば新自由主義と呼ばれている思想なのである。〔・・・〕政府は〔・・・〕独占を防ぎ、安定した金融政策を実施し、悲惨な貧困を救い、〔・・・〕公共事業を実施し、〔・・・〕自由競争が繁栄をもたらし、…
1 日銀は物価の番人 日銀の総裁が黒田さんから植田さんに替わるそうです。 黒田さんといえば、異次元の金融緩和。 通貨供給量を増やしたことで有名です。 今後、金利を上げ通貨供給量を減らしていくのか。 日本中の金融関係者が注目しています。 さて、本書ですが2012年初版発行された日銀の金融政策に関する本です。 日本銀行デフレの番人 作者:岩田 規久男 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 Amazon 一般に中央銀行は物価の番人と呼ばれます。 しかし、デフレを何年も解決できない日銀はその名にふさわしくない。 いわばデフレの番人だ。 こういうタイトルになっています。 要するに日銀の政策批判です。…
※2019年4月15日のYahoo!ブログを再掲 ↓↓↓ 著者は、岩田規久男(いわた きくお、1942-)さん。岩田さんは、2014-2018年度の5年間、日本銀行副総裁を務め当時の日記をまとめたものが本書となっている。 歴史や最新のニュースやSF的な未来のことに興味のある方は多いし、そういった情報はたくさんあるのだけれど、こういう近過去情報は存外少ない。ニュースとして扱うことはできないし、評価がはっきりしていない事柄に関する当事者情報はその取扱いには慎重にならざるを得ないのだろうか。 本書はタイトルどおり日記形式となっている。経済学への理解が乏しいくせにやたら居丈高な国会議員、それを諌めない…
ゾンビ企業というワードがある。個人的には経済学者が安易につかう想像力が不足しているワードだと思う。何年も前からいっていることだが、景気が悪いと「ゾンビ企業」といわれる企業が増えて、景気がよくなると「ゾンビ企業」が減っている。つまり単に総需要不足では、素晴らしい財やサービスを提供できたり、できる機会があっても実現できない、ということにすぎない。もちろん常識的に「こりゃだめだ」という企業もあるだろう。だが、ゾンビ企業と経済学者やマスコミが濫用しがちなこのワードにはいつも注意が必要だともう20年近く思っている。 ゾンビ企業仮説についての批判は、岩田規久男先生の本についてのこのエントリーなど参照。 ま…
冒頭からしてダメ photo by gettyimages 日銀は3月19日、マイナス金利を解除した。今回の政策決定を受けて、決定に至った背景、過去の引き締め局面で何が起きたか、今回の経済への影響はどうか。それぞれ見ていこう。 【写真】「投資すれば豊かな暮らしができる」という国の「大ウソ」 3月19日に公表された日銀の「金融政策の枠組みの見直しについて」をみると、冒頭に「2%の「物価安定の目標」が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至ったと判断した」とし、「これまでの「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の枠組みおよびマイナス金利政策は、その役割を果たした」とし、「短期金利の操作を…
これまで森永卓郎は庶民派の経済評論家として好意的な目で見てきた。しかし、著書を読んだことはない。新自由主義的な政策には批判的というイメージはあったが、実際のところ、どんな経済政策を支持し、提言しているのかは知らなかった。財務省の「財政均衡主義」への批判と日本経済を再生するためには金融緩和と財政出動が不可欠という主張は、それなりに説得的に感じる。 本書の中では、MMTを批判する小幡績氏や藤巻健史氏を批判する一方、岩田規久男の「『日本型格差社会』からの脱却」を評価している。「『日本型格差社会』からの脱却」は私も読んだ。筆者の品性には鼻白むところもあったが、論理的には明晰で理解できるものだった。しか…
とうとう来ました 日経平均株価 なんと35049.86 1月11日木曜日でいきなり35000円台に突入だなんて ちょっとびっくり 僕の気持ち的には ちょっと早いよ って感じですけど 突入してしまったものはしょうがない そんな感じです 1月でこの数字を叩き出せるという事は ほんとうに今年中に40000円台にも行くかもしれない そう思い始めました 確かにどうなるのかわからない でも この数字が本物なのだとしたら 日本企業の底力からは元々あって 正当に評価されたということ 名古屋商科大学の大槻先生もテレビで言っていましたが 株価上昇は景気を先取りしている もしそうなら本当に 景気の良い日本経済になっ…
いよいよ2023年も今日で終わりですね。2023年は皆さんにとってどんな一年でしたか。 経済に関しては、年初には様々な懸念材料がありましたが、意外に悪くない一年だったといえるでしょう。米国経済が予想以上に堅調で、日本経済も30年ぶりの大幅な春闘賃上げが実現し、名目GDPが600兆円に迫り、実質GDPも2%近い成長を遂げて過去最高になると予想されること等、思ったよりも明るい話題が多い一年になりました。 世論の反対もあって防衛増税が延期され、日銀も金融緩和の急激な修正に踏み来ることなく、円安が続いたことが景気回復の追い風になったといえるでしょう。資源高が起点とはいえ、予想インフレ率が上昇して消費者…
2012年末の総選挙で2%インフレ目標・無制限金融緩和で安倍の勝利で始まる。白川総裁、黒田総裁、リフレ派政策委員選任、植田総裁と政治の関係、バズーカ、マイナス金利、YCC…と複雑化した金融緩和の過程。 リフレ政策とは、日本のデフレ脱却が必要である、デフレは貨幣的現象なので金融政策でのみ対処できる、日銀は量的緩和を行うべき、というもの(p.15)。 安倍晋三は最初は金融緩和だけでデフレ脱却はできると信じていた。リフレ派自民党の山本幸三、学習院大学岩田規久男、元日銀審議委員中原伸之、イェール大学浜田宏一。 2013年1月22日金融政策決定会合で日銀は2%物価目標、などを決定。3月白川総裁辞任。3月…
『週刊読書人』2023年12月15日号の「2023年の収穫」にて、岩田規久男先生より「今年印象に残った3冊」の一つとして拙著『本当に役立つ経済学全史』をご紹介いただきました!高く評価していただき大変光栄です! ちなみに、岩田先生ご推薦の他の2冊はブランシャール『21世紀の財政政策』と、バーナンキ『21世紀の金融政策』です*1。この二冊は大変素晴らしい本ですので、こちらも是非ご一読を。 読書人のアンケートには様々な分野の研究者や作家、書店員の方々のおすすめの本が掲載されています。年末年始のブックガイドとしてご活用いただけると思いますので、是非お手に取っていただければ幸いです! *1:こんな名著と…
田中秀臣先生から今年の動画&SNS発言(日本語のみ)ベスト5の一つとして、テンミニッツTV配信の動画、柿埜真吾「「ヒトラーの経済政策はケインズ的で大成功だった」は大嘘」をご紹介いただきました!大変光栄で嬉しく思います! ご紹介いただいた動画では、ナチスの経済政策が成功どころではなかったことを解説させていただきました。最近の日本では、極右の陰謀論者を中心にナチスを評価するような主張が蔓延していますが、実際にはヒトラーの経済政策の”成功”はプロパガンダに過ぎません。戦争が始まる前からドイツ国民の健康状態も消費水準も悪化していますし、その実態は悲惨でした。戦争前からユダヤ人をはじめマイノリティーへの…
この度、『週刊金融財政事情』に、岩田規久男著『経済学の道しるべ』(夕日書房)の書評が掲載されましたのでお知らせします。是非ご覧いただければ幸いです! 『経済学の道しるべ』 | きんざいOnline (kinzai-online.jp) SNSやメディアには経済に関する情報があふれていますが、中には「とめどなく進む円安で日本が破綻する」とか「日本は「新自由主義」のせいで超格差社会になった」といった陰謀論や終末論めいた議論も少なくありません。本書は一見もっともらしい俗説がなぜ誤りなのか、明快な論理とデータで明らかにしています。経済論壇で道に迷わないための道しるべとして是非読んでほしい一冊です! な…
|インフレーション:詳細な説明 |デフレーション:詳細な説明 Amazon.co.jp: Amazon Prime Amazon.co.jp: Audibleブック・オリジナル Kindle Unlimitedにサインアップして無料体験に登録する Amazon.co.jp: Amazon Music Unlimited About the difference between inflation and deflation インフレーションとデフレーションの違いについて |Inflation:An In-Depth Explanation |インフレーション:詳細な説明 1.What is I…
「気候変動問題を解決するには資本主義を捨てなければならない」と主張する本が何十万部も売れている。もちろん他の経済学者からは厳しい批判が出た。しかし、そうした批判の声はあまりに地味なせいか、人々の耳にはほとんど届いていないみたいだ(以下の柿埜氏と岩田氏の本は、齋藤本を真正面から否定している)。 人新世の「資本論」 (集英社新書)作者:斎藤幸平集英社Amazon 自由と成長の経済学 「人新世」と「脱成長コミュニズム」の罠 (PHP新書)作者:柿埜 真吾PHP研究所Amazon 資本主義経済の未来作者:岩田 規久男光文社Amazon なんで『人新世の資本論』は売れてしまうのか? たぶんそれは、現状に…
以下の取材記事はトレーダー個人の経験やお考えに基づくものであり、また、お客様の収支については、「取材依頼時点」のものとなり、その内容については、当社が保証するものではありません。実際のお取引については充分内容をご理解の上ご自身の判断にてお取り組みください。 3,000万円の損失を出したことでFX投資を諦め、正社員として就職した会社からの収入で生活し始めたトミー氏。40歳を超え、人生の折り返し地点を迎えたところでトミー氏は、会社を辞めて自営業者の道を選びます。しかし、彼を待ち受けていたのは、設備投資のための資金不足でした。苦境に立たされたトミー氏はFX投資による資金調達を選択し、1億円超の資金を…
任期の10年間をムダに過ごして去った黒田東彦前日銀総裁による物価目標政策の大ウソがバレた。このほど黒田日銀スタート当時の日銀の議事録が公表され(7・30)、マスコミが一斉に報じた。黒田金融政策は大失敗だった、大ウソだったと報じているわけではないが、折りに触れて庶民感覚・生活者の視点から黒田金融政策を批判してきた当方「ババン時評のババン爺」からすれば、この議事録によって黒田日銀による物価目標のでたらめさ加減、大ウソの舞台裏がバレたとしか言いようがない報告書の内容である。 議事録は年2回、10年経過後に半年分がまとめて公表されるようだが、今回の報告書は、2012年12月に発足した第2次安倍晋三政権…
私が池田信夫先生に公開書簡*1を書いたのは、意見の相違があるとかそういう問題以前に、私の著作や番組に対する池田先生の評価が基本的な点で事実に反しているからです。今日は拙著への先生のご評価について、いくつか追加的なコメントをさせていただきます。 拙著の「リフレ派」への言及はたった一か所です 池田先生によれば、私の『ミルトン・フリードマンの日本経済論』は、「フリードマンは日本経済なんか論じてないのに、思い込みでフリードマンをリフレ派にしている」「ひどい本」*2なのそうです。先日発表されたご論考「フリードマンはリフレ派だったのか」の中でも、「フリードマンが「私はリフレ派だ」と言ったこともない」*3と…
積極財政派の政治家は少なくありませんが、その多くは政府支出を増やすことに積極的であっても、減税にはあまり積極的ではないようです。減税も政府支出拡大もどちらも財政政策なのですが、なぜか人気があるのは公共事業等の政府支出拡大です*1。実際には、減税と政府支出ではどちらがより効果的なのでしょうか。 単純なケインズモデルの答えは、経済学部生ならよく知っているでしょう。ケインズモデルを信じるならば、同じ金額の景気対策をするのであれば、政府支出を増やす方が減税よりも効果的です。政府支出は総需要を直接的に増やすのに対して、減税の場合、減税で可処分所得が増えた人が消費を増やしてはじめて総需要が拡大します。です…