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岩下壮一

(一般)
いわしたそういち

カトリック神学者・哲学者

戦前・戦中のわが国に於いて、カトリック教会の理論的支柱にして、同教団の実質的指導者。…しかし現在は、我が国読書界等では、「忘れられた思想家」の一人としての地位に甘んじている。…喫緊に再評価が待たれる所以である。
東京帝国大学哲学科の卒業論文に於いては、〔アウグスティヌスの〕「神国論の歴史哲学」なる論を仏語にて物し、あの「ケーベル博士」に満点評価の激賞を賜ったとのことである。
さらに彼はその後、仏国への数年間に亙る「洋行」を、官費でのそれではない形で経験――と言うのも、前者の形態によると、様々な制約が心身に降りかかるからなのである、のだそうだ。――し、確か「彼の地」にて叙階せられ、ローマ教皇庁から日本へと「派遣」されるという異例の形での母国への「凱旋」たる帰還――と言ってもいいでしょう?――を果たした模様なのである。
そしてその彼は事実、帝国大学中世思想講座の教授職を嘱望されていたにもかかわらず断然これを退きえて、一カトリック司祭としての「信仰生活」に躊躇無く踏み出したのであって、その後のハンセン病への関わりを初めとする目覚しい福祉活動への専従をも閲する所の者とも、成りゆきてゆくのであるのであった。
代表的著書には、稲垣氏の校訂にかかる大部の『カトリックの信仰』(講談社学術文庫*1)等がある。*2→稲垣良典

*1:この書は現在例によってアマゾンマーケットプレイスにて高騰している絶版書のうちの一つである。速やかなる復刊の希求される所以である。

*2:さて、以上我々は、岩下の生涯、と言うよりか半生について実に簡便な形でのみ概観して来た訳であるのだが、更に詳しい情報とそして知識をも求めたい「求道者」的諸氏にあらせられては、次の如き印象深き論文の存することをここに筆者は告知しておく。是非参観願いたく強く祈念す。http://www.konan.ac.jp/library/kiyou/k-No32-6.pdf。…さてところで我々は、既に言い忘れた所を含み持って居るのであって、まさに今しがた挙げたURL(インターネットアドレス)に位置する上述の論文の著者でもある輪倉一広氏は、現代に於ける岩下壮一研究の第一人者と目される方でもある。ここに斯様に記して、その偉業を讃える所以なり。

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