よしもと・たかあき(1924〜2012) 詩人、文芸評論家、思想家。1924年(大正13年)11月、東京・月島生まれ。東京工業大学電気化学科卒業。主著に『転位のための十篇』『固有時との対話』『共同幻想論』『マス・イメージ論』ほか。 名前の『隆明』は本来は「たかあき」であるが多く「りゅうめい」と呼ばれる。小説家・よしもとばなな(吉本ばなな)は次女。 数年前、伊豆で海水浴をして溺れかけた。 2012年3月16日、肺炎のため死去。
本棚を片づけていたら出てきた一冊。 いつ買ったのかもう覚えていなかったが、挟まっていたレシートを見ると1989年に買ったらしいので35年前である。 この本は詩的な評論、と言い代えたところで何も言っていない。 言葉によって言葉たりえないもの、身体とか時間とか抽象とかを探っている、という作品だと思った。 どうしてもわかりにくいし、理解できているのか怪しい。 非常に烏滸がましいのだけれど、自分にとって吉本隆明氏の言葉は、ベースにあるような気がする。 どこがどう影響しているとか具体的に説明できないのだけれど、吉本氏の文章の中にこういう言い回しとか、使っている時があるかもしれない、と思ってしまう。 「噂…
吉本隆明ってボク、良く分からないけど、尊敬していました。今の若い方には、吉本ばななのお父様と言ったほうが良いかもしれませんね。ボクなんかよりも、もっと昔のいわゆる全共闘世代の知的シンボルだったような方。難解な思想、強面、辛辣な発言という印象がありますが、一方、その詩、特に若いころの物は、若さ特有の自負とか、少し感傷的で自虐的な気分とか、いろいろな箴言のようなものがちりばめられていて、今でも、時々読み返したくなります。どういう理由かわからないけれど急にまた読みたくなって本を開いた。余談だけど、この本一度新宿の飲み屋に忘れてきたことがあって、翌夕行ってみると、店にあって、感謝したことを覚えている。…
『批評』(復刻版)合本にて全6巻。原本は昭和14年8月創刊、山坂あって最終号は昭和20年2月発行。文芸批評の同人雑誌だ。復刻版刊行にさいして、総索引や解説を付して、歴史研究の一次資料たるの便宜が整えられた。 「山坂あって」というのは、同人雑誌維持の苦労を味わった者であれば容易に想像がつくはずの、窮境やらゴタゴタによって、間遠になった時期もあるという意味だ。しかも窮屈な軍国主義下であり、戦時下である。同人各個の身の上にも身辺事情にも、苦境異変数えだしたら切りがあるまい。徴用された者も、病気療養した者もあったろう。姿を隠さねばならなかった者すらあったかもしれない。むしろよくぞここまで、この雑誌が発…
吉本隆明という「共同幻想」 呉智英 筑摩書房 / 2012年12月7日発売 吉本隆明という「共同幻想」 作者:呉 智英 筑摩書房 Amazon 吉本隆明という「共同幻想」 (ちくま文庫 く 27-3) 作者:呉 智英 筑摩書房 Amazon f.2024/1/26p.2012/12/13 吉本を読んでなくても面白い! 吉本を読んでなくてもよく分かる! 吉本隆明。戦後最大の思想家? 本当だろうか?「学生反乱の時代」には、多くの熱狂的な読者を獲得し、少なからぬ言論人や小説家が多大な影響を受けた。 だが、その文章は「正しく」読み取れていたのだろうか。その思想は「正しく」理解されていたのだろうか。 難…
最近、本を読む時間が激減していることを痛感している。本よりもスマホに手が伸び、そして動画鑑賞。一つ動画を見てしまうと、関連動画が次々現れ、ますます深みに入ってしまう。以前は、年間40冊、週あたり1冊というのが目標であり、自分なりのペースだった。読み終えた後は、手帳に書籍名とワンフレーズ感想、そして◎○△で自分なりの評価も書き残していた。週末や寝る前のひとときが読書タイムだった。カバンの中やベッド脇にはいつも読みかけの本が入っていた。速読などできないので、読み終えるのに結構時間もかかった。 今も、基本的に本は好きだし、読みかけの本は直ぐに手の届くところに置いている。しかし、とにかく1冊の本を読み…
若き日の一時期、なんとかして理解しようとムキになってはみたものの、容易には歯が立たなかった本というものがある。今想えば、肩の力を脱いて、平易に読めばさほどの本でもなかったものを、未熟ゆえにそうはできなかったという苦い思い出である。それもこれも手遅れだ。再読もしくは参照の機会ありそうなものだけを残して、おおかたを処分する。 吉本隆明については、初期評論からは『藝術的抵抗と挫折』『高村光太郎』『言語にとって美とは何か』(全二巻)のみを残す。また『源 実朝』『最後の親鸞』を残す。他は出す。『情況』のような時局的発言もあったが、拙宅内のどこに収納したものか、今即座には出てこない。見つかったら順次出す。…
"> ">僕の99%は過去の時間で出来ている。当然だろう、今、いるこの瞬間もすぐ過去になり、自分の未来の時間との接点は、ほんのわずか。99.99%は過去の時間で出来ている。歳も60も過ぎ、残された時間も少ない。 例えば20歳の人でも彼や彼女の思考のすべては、99.9%過去の時間の集積で完成している。ただ彼らには、これから蓄積されるであろう、数十年分の時間の固まりへのアクセスが許可されているという事なのだ。 僕ら、オヤジ達にはそのアクセスできる時間の固まりが、縮みはじめたゴム風船のようにいくら息を吹き返しても全然膨らまないのだな。結果、過去に膨らました、幻想の時間を旅することになる。 先月は40…
田舎に住んでいると「移住・定住促進」という言葉をよく耳にする。私自身は論理的に考えて,私の住む町だけが人口を増加させることはできないという意見を持ち続けている。けれどそんな考えはなぜか少数だ。先日,仕事で東京から来られた方がこの話を耳にして,「人口って増えたほうがいいのですか?だとしたらなぜですか?」と問われ,ハッとした。逆説的に考えてみることは何か大きな方針を決めるときには大切なプロセスだけど、忘れていることも多いと痛感した。 今やインターネットを使わない日はない。おそらく使わない人もほとんどいない。誰もがネットニュースを見て,SNSでコミュニケーションを取り,動画で時間をつぶす。そんなこの…
新潮文庫1998 対談本で面白いと思うものはほぼほぼないのに、古本屋で見つけたらついつい買ってしまって後悔する。今回も後悔する方の一冊だった。 3人はわかり合っているのかもしれないけれども、読者は置いてけぼり。もしかしたら当の3人だって相手の言っていることが分かっていないのかもしれないと思うくらい。 1998年の本。読んで感じたのは、東日本大震災で日本人の価値観や考え方が大きく変化を迫られたということ。原発や自然について話している部分があるが、分からないなりに違和感を感じた。 印象に残ったのは四季についての話。和歌の世界において早い段階で日本に四季があると規定してしまい、それが今のいままで続い…
生涯現役 (新書y) 著者 : 吉本隆明 洋泉社 f.2023/8/5p.2006/11/14 from amazon site 内容(「BOOK」データベースより)老いてなお現役であるための決意と覚悟の書!「老い」は、階段を踏み外すように突然訪れる。われわれはこう考えがちである。「老い」は自然にやってくると。だが、黙っていたら老いなんて誰でも同じようにやってくるなんて思っているのは、大いなる錯覚である。「老い」と対峙せず、若さを保とうとするとすれば落とし穴に落ちる。生涯現役であるために、われわれはどんな場所にたてばよいのか?己をめぐる幾多の困難を前に、一度として目をそらさずに発言し続ける著者…
室生犀星は『性に目覚める頃』に続いて、大正九年にやはり新潮社から『結婚者の手記』『蒼白き巣窟』と三冊の小説を上梓している。これらの二冊は未見だが、昭和十一年に『近代出版史探索Ⅲ』436の非凡閣から『室生犀星全集』が刊行され、その第七巻がそれらのタイトル作を含めた初期作品集として編まれている。 (非凡閣) ここで取り上げたいのは短編集『蒼白き巣窟』で、いくつかの犀星の「年譜」にはこの「青白き巣窟」が講談社の『雄弁』に掲載予定だったが、目次にタイトルが残されただけで、全文が削除されたとある。しかし犀星としても、愛着があったようで、そのまま捨ておけず、内務省の検閲を経て、短編集のタイトルとすることで…
どうも図書館に本かえしたらもう雨だし 風呂いくきがしないので明日にまわすか とか思っている(これから夕食をくう) ぱっとしない人生とかどんとこいだが いやなことばかりの人生はいやんだねえ あとどうもいろんな人がおなじ問を考えている ようだす 労働のあとにスタバでメモつくりしてた(かえす本) 鹿島茂のやつで「バルザック戦略」もよかった(仏文研究者として ライバルが少ない)が だんだん鹿島は19Cフランスの世俗の風俗の専門家になっていくのだった あと吉本隆明「共同幻想論」の話が 例なのに 例以上に強く大きく書かれているし引用もたくさん その中で「中心」になる対幻想 それは家族のはじまり・・・という…
現在開催中のBankART Life7「UrbanNesting:再び都市に棲む」に、blanClass+神村恵という名義で出張参加しています。会期中全12回「身ひとつで生きる」というタイトルでLive Artツアーを実施中です。 今週土曜日はいぬのせなか座の山本浩貴さんが2回目の出演です。今回は前回(3/30)のレクチャーを受けて、いよいよ都市を読み直すためのワークショップを行います。 前回のレクチャーでは、14時から17時まで3時間、あいだに10分間だけ休憩を挟みはしたものの、ほぼノンストップで話し続けた山本さん…。吉本隆明が示した「世界視線」という概念を駆使して、そのはるか上空から自分を…
これは自分の考えではなく、最近読んだ吉本隆明のインタビュー集に載っていたもの。 「解決方法は一つしかないんですよ。それは何かというと、首相が先頭になって閣僚を連れて行って、協議会合を公式に開いて条約を結んで、帰りたい人は自由に帰れるし、残りたい人間は自由にいれるようにするという協定を結べばすぐに解決するんです」という考えは、なるほどね、それは中国とかロシアに仲介してもらうのもアリかと思うし、「帰さないなら経済制裁というのは意味がない。拉致問題は人道的な問題と言って起きながら、政治的な問題(経済制裁)と取り換えるのはおかしい」というのもうなずける。「それに応じないならば、日本にいる北朝鮮系の人は…
ニューアカとは何か?を語る上で、宝島系の雑誌記事だったと思うが面白い解説があったので紹介してみたい。 学術的には、構造主義・ポスト構造主義などのポストモダニズムの日本版がニューアカデミズムになる。 それとは異なる解釈で書かれていた話で。1970年代に出版業界の印刷術が活版印刷から写植印刷に変わった。それに伴って、写真やイラストなどのグラフィックを中心としたグラフ誌の登場が期待され、科学雑誌においてもニュートンやウータンなどの写真雑誌が登場し、ニューサイエンスと呼ばれた。それの人文科学版がニューアカデミズムだ。 「構造と力」の巻末に付いているプレモダン/モダン/ポストモダンを示す様々な図像、90…
Book Review 16-10 人物 #吉本隆明 『#隆明だもの』(ハルノ宵子著)を読んでみた。著者は漫画家。父親は吉本隆明氏。妹は小説家の吉本ばなな氏。母の和子も俳人である。 365日、毎日夜中に欠かさず(父親が危篤であっても)近所の猫の生態観察をしていた。猫の本もたくさん出版している。 本書は戦後思想界の巨人と呼ばれる吉本隆明とその家族について綴ったものである。 吉本 隆明は、日本の詩人、評論家。音読みして「りゅうめい」と読まれることも多い。大学には籍を置かなかった。『共同幻想論』が学生運動の激化していた1968年に出版され、当時の青年たちに熱心に読まれ、教祖的存在となった。論争が好き…
youtu.be The Libertines - Merry Old England (Official Video)All Quiet On The Eastern Esplanadeザ・リバティーンズオルタナティブ¥1935 イソスタの更新 ブックオフオンラインへ色々と売りに出した。 声優の裏アカも音楽家の評論家disとか色々ありますな。 なんかすべて含めてX(Twitter)の世界だなぁと。 来年からJR精神割引って障害者本人は特に喜べる要素がない…。 むしろ障害者あぶり出し特定みたいな使い方だなぁ と思ったらヤフコメの欄が地獄。 『お兄ちゃんはおしまい!』 最!!!高!!!だ!!!よ…
最終章をのこしているがとりま図書館にかえした 期限だからです カントがそういったんだね 「国のなんか権能を世界共和国へと移譲することで」 まあオレはそこの章はまだ読んでいないんだけど それでもそこまでの「国家が国家であろうとする運動」みたいなのが 気になった つまり国家をたおしたり国家をなくしたりすることは容易なことでは ないのである 産業資本主義を倒すのも容易ではないが やはりこないだメモつくったのと同じく キモとしては「都市におけるプロレタリアートが 工場労働者であると同時に買い手である消費者であるということで 工場でつくった生産物を買う消費者でもあるからこその 価値が工場でつくる経費と労…
吉本隆明を読まないでいて良かった。もし吉本を読んでいたら影響を受けすぎていた。 吉本のエピゴーネンになっていたはずだ。エピゴーネンというの模倣社。 大情況論: 世界はどこへいくのか 作者:吉本 隆明 弓立社 Amazon 上は吉本の大状況論だ。吉本はサントリーが水を売り出したことに注目している。 遠くから話す。エンゲル係数なるものがある。エンゲル係数は家計の中の食費の割合をいう。エンゲル係数の意味は食費はどうしても必要なお金だから(人間食べなきゃやっていけないから)家計の中で食費が多いひと(家)は家計が苦しい(貧しい)といえるんだという考えに基づく。 お金をどうしても必要なお金と自由に使えるお…
気温摂氏3.8/14.1度。朝の寒さは二週間前の三月末以来。晴。武田砂鉄『なんかいやな感じ』(講談社)を家人も読んでみると著者と同じ東大和市で育つたので地元の「たなべ文具店」だとか、それでもそちらは四小学区なので一小に在籍の家人にとつては少し遠い芝中団地は七小学区だつたが越境でよく遊んだのださう。それにしてもやはり「なんかいやな感じ」。これが雑誌の連載でればさらっと一読で済むのだらうが単行本なので短編が続くと「なんかいやな感じ」なのかもしれない。 『白水社の本棚』2023年冬号だつたかな?外で読み捨てゝしまつたのだけど、そこから「プーチンの戦争、プーチンの身体」池田嘉郎より(以下、要旨)。プー…
風はヒンヤリしていたけれど、澄み切った青空が広がって、清々しい一日となりました。 さて、今日は町立図書館に行って、3月31(日)から4月6日(土)までの朝日新聞一面コラム「折々のことば」を、まとめ読みしてきました。この一週間で印象に残ったのは、二つの「ことば」でした。 まず、4月3日(水)は、吉本隆明さんの「何か善いことをしているときは、ちょっと悪いことをしている、と思うくらいがちょうどいいんだぜ」という「ことば」で、いつものように鷲田清一さんの、次のような解説がありました。 『子どもの頃、学校で赤い羽根募金があり、場の空気から何となく百円寄付したと親に告げると 「フフフン」と遇(あしら)われ…
いま100分名著「夢判断」フロイト の第二回をみているんだが面白いねこの京大の立木先生すげえおもしろい (ついき先生です 変わった名前) 精神分析とフロイトというとオレはどうしても パプリカを書いていたころの筒井康隆とか モーニングで巻頭カラーで第一回だったみやすのんき「ドリームラバーズ」 とか思いだしてしまう つまりフィクションたちである でもさあ精神分析って「それが正しいかどうかがわからない」が 「それを知ることにより安心したり症状が改善したりすることがある」わけ じゃんね それはよくわからない困りごとが「ASDです」とか名前がつくとそれで 安心することもあるというのと似ていると思うのね …
日本特殊論とその背景 〜中心たるヨーロッパと周縁たる日本の自覚の差 近代化の原点としてのヨーロッパ 〜世界に行き渡るヨーロッパ的価値観 ヨーロッパが自らを語ること=普遍性の自覚 日本が自らを語ること=普遍性ではない特殊性の自覚 非ヨーロッパ圏という桎梏 自らを語ること 〜普遍的であれ特殊的であれ、自らのみを考えている 特殊的自己中心主義の超克 〜理念、他者、多文化/多民族 気になったら読んで欲しい本 ヘーゲル『歴史哲学講義』 ヴァレリー『精神の危機』 木田元『反哲学史』 柄谷行人『隠喩としての建築』 サイード『オリエンタリズム』 吉本隆明『共同幻想論』 丸山眞男『現代政治の思想と行動』 丸山眞…
読書 2 図書館 1 高校生になると、読書事情がかなり変わる。学校の図書室を積極的に利用するようになった。私好みの本は多くはないが、新書を中心に読んだ。岩波新書にはおもしろそうなものはあまりなかったが、中公新書はおもしろいものが多かった。ノンフィクションや海外旅行記が文庫で次々に出る時代ではまだなかった。 あのころは、高校の図書室の本をもっともよく読んでいる生徒だったと思う。これは単なる想像ではなく、当時図書委員だったので、生徒の利用状況がわかった上での客観的事実だ。進学校の生徒は、読書よりも受験勉強に忙しかったから、世界と日本の名作文学といった本以外読む人は・・・、松本清張、アガサ・クリステ…