今日も重く煩っておいでになる太后は、 その中ででも源氏を不運に落としおおせなかったことを 口惜《くちお》しく思召《おぼしめ》すのであったが、 帝《みかど》は院の御遺言をお思いになって、 当時も報いが御自身の上へ落ちてくるような恐れを お感じになったのであるから、 このごろはお心持ちがきわめて明るくおなりあそばされた。 時々はげしくお煩いになった御眼疾も快くおなりになったのであるが、 短命でお終わりになるような予感があって お心細いためによく源氏をお召しになった。 政治についても隔てのない進言をお聞きになることができて、 一般の人も源氏の意見が多く採用される宮廷の現状を喜んでいた。 ☔️🎼雨音落…