『ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜』2009年10月10日公開。東宝配給。 愛など信じたら、すべてが消えてしまうと、男は恐れている。 すべてを失った後に、残るのが愛だと、女は知っている。 監督:根岸吉太郎 脚本:田中陽造 原作:太宰治 出演:松たか子、浅野忠信、室井滋、伊武雅刀、広末涼子、妻夫木聡、堤真一
リスト::日本の映画::題名::あ行
太宰治の作。初出:昭和22年3月「展望」
『太宰治全集8』 ちくま文庫 原稿用紙で57枚の太宰治後期の短編、「ヴィヨンの妻」が好きです。理由は、太宰は女主人公の一人称の小説がうまいこと(他に「女生徒」『斜陽』など)、のちに発表される『斜陽』『人間失格』内に含まれる要素の萌芽が見られることです。 それらをたった57枚の分量のサイズで味わえることは、エッセンスが濃いとも言えましょう。 本日はこの作品の魅力について語ってみたいと思います。 mori-jun.net 作者・太宰治の簡単なプロフィール 「ヴィヨンの妻」の背景 あらすじ 感想、解説 私が太宰治が好きな理由 「ヴィヨンの妻」でも出てくる弱さと、開き直り 『斜陽』『人間失格』のモチー…
booksch.hatenablog.com 人間シリーズ第2回 太宰治とはどのような人間だったのか? 実験と結果 : AIとの対話 第11章 | 「#矛盾と葛藤」 太宰治の魅力的な人間像に迫る | #太宰治 #人間失格 #斜陽 #ヴィヨンの妻 Introduction 本日も"T&E"は「Trial and Error」(試行錯誤)で失礼致します。本日は「人間シリーズ第2回 太宰治とはどのような人間だったのか? 実験と結果 : AIとの対話 第11章」でどうぞ、よろしくお願い致します。今回はあの名作の数々とは距離を取り、一体「太宰治」とはどのような人間だったのか? 人間「太宰治」に焦点を当て…
Amazonprime videoにて鑑賞 【監督】根岸吉太郎【脚本】田中陽造【原作】太宰治「ヴィヨンの妻」【出演】松たか子、浅野忠信、室井滋、伊武雅刀、広末涼子、妻夫木聡【公開】2009年 太宰治の作品群から太宰治という偶像を抽出したような映画だと感じた。また、台詞が初期のART-SCHOOLの歌詞に出てきそうな気がした。 大谷穣治の台詞・家では仕事ができないんです……ヒモだからね。・男には不幸しかないのです。いつも恐怖と闘っているのです。・信じたいんだよ。君はあの時の君のままだと。・俺はぐらぐらと頭が回るほど酔わないと、恥ずかしくて人と話させないんだよ。・ぼくはどうしたって死ねないんだ。・…
飯島奈美さんの『シネマ食堂』より「もつ煮込み」を作りました。映画『ヴィヨンの妻』に登場する料理だそう。倍量で作っても良かったなと思う位美味しくできて、あっという間になくなりました。 目次 1.材料 2.作り方 3.レシピ本【材料】ゆで牛もつ 800g(冷凍の場合は解凍する)こんにゃく 1枚しょうが 1かけにんにく 2かけ酒 3/4カップ砂糖 大さじ2~3信州味噌・赤味噌 合わせて大さじ4と1/2~5と1/2みりん 大さじ1しょうゆ 小さじ1長ねぎ 適宜【作り方】1.ゆで牛もつは沸騰した湯にさっとくぐらせて水にとり、洗う。こんにゃくはスプーンでちぎって下茹でする。しょうがは薄切りに、にんにくは縦…
お題「大失恋をしたときどう立ち直りましたか?」 私は大変繊細な心の持ち主で、失恋なんてしようものなら息をするより涙を流すことに体の機能が持っていかれてしまうのに、なぜか食事は喉を通ってしまうので失恋しても痩せないというありがたくないタフさが備わっています。数時間くらいは喉を通らないタイミングはあるんだけど、それってまあ普通ですよね。1食抜いても体重に影響ないのが中年の証。 10年くらい前、まだ30代前半だったときに、人生で一番好きだと思っていた彼氏から連絡がこなくなったことがあって、彼からの連絡を半年以上待ち続けていたときは息を吐くように涙を落としていた。寝る前の儀式みたいに。結局その人とはそ…
ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~ [DVD] 松たか子 Amazon 私たちは、生きていさえすればいいのよ。 太宰をほうふつとさせる主人公の夫。このダメ亭主が怖くて怖くて。 松たか子だからか、さっちゃんからはあまり悲壮感とか貧しさとかが感じられなかったぞー。 他はみんなはまり役だったような。 さっちゃんがなんであんなにモテモテなのかちょっと謎だったわ。
『一寸の仕合わせには一尺の魔物が必ずくっついてまいります。人間三百六十五日、何の心配もない日が、一日、いや半日あったら、それは仕合わせな人間です。 太宰治』 ヴィヨンの妻(新潮社)からの一節です。 仕合わせ(幸せ)と魔物はセットなのだと、このフレーズでは述べています。 このバランスだと、10倍も魔物が大きい計算になりますね。 幸せでさえ心配のタネになるという、人間の心理を巧みに描写しているように感じられます。 実際には、何も無いという日は、無いのでしょうから、いつも魔物との戦いに明け暮れているのかも知れませんね。 「好事魔多し」などとも言いますが、何事も無いと言うより、何事かはあるというのが、…
太宰作品を一通り読んだのは7-8年前の事と記憶している。夏休みに市民図書館で。それ以来読み返すこともなかった。 ヴィヨンとは、15世紀の詩人フランソワ・ヴィヨンのこと。無頼の人生を送ったことで知られている人。生涯幾度も罪を犯し絞首刑を言い渡されたこともある。作中の大谷は、まさしくヴィヨンのような生き方をする無頼漢。 読んでいて流石だと思ったのは、たった原稿50枚程度の短編であるが、その裡にも太宰の世界は完成しているという点。退廃的で、荒んだ心の世界。 太宰ファンという者は一定数いる。何故彼等は太宰作品を愛するのか、僕は知りたいと思う。私にとって太宰作品とは、教養と品格の欠落。強烈なナルシシズム…
ヴィヨンの妻 (新潮文庫)作者:治, 太宰新潮社Amazon 表題作「ヴィヨンの妻」をはじめ、「親友交歓」「トカトントン」など太宰治の最晩年(昭和20年から玉川上水に入水自殺する昭和23年までの3年間)に書かれた八篇を収めた短編集。 学生時代、自尊心が傷つくからAV見ながらオナニーできないという友達が大の太宰ファンだった。ぼくの太宰イメージはこのかつての友人とともにあるのだが、なるほど、この短編集を読んで、太宰の魂はきっとこういう人を惹きつけるのだと納得した。恥ずかしくて生きてられない人、それが太宰治だ。何がそんなに恥ずかしいのかというのは愚問。平気な顔して日々を生きる、もうそれが信じられない…
井の頭池は花見の名所みたいな扱いにいまはなってはいますが、吉祥寺の隣の三鷹に住んでいた太宰治の『ヴィヨンの妻』だとかつて井の頭の池のほとりには以前は杉があったことになっていて、上記の作品ではそれが伐られて「寒々した感じ」と描かれていて、いまある桜はおそらくそのあとに植えられたものと推測します。つまり古くからの桜の名所ってわけではないようで。杉の代わりになぜ桜を植えたのか経緯は知らぬものの、そのおこぼれを都民は享受していることになります…ってそんなことを書きたかったわけでは無くて。 今年は桜の開花が東京では遅かったのですが さすがにかなり経ったのでずいぶん散ってしまっています。それでも花見客はけ…
晴れの金曜日。 あんまり映画は見ないのだけれど、随分と前に『ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~』は見た。松たか子演じる佐知が「人非人でもいいじゃないの。私たちは、生きていさえすればいいのよ」と言うシーンが素晴らしい。小説のそれを、見事に映像化していた。あとあの映画では夫の愛人役の広末涼子も凄まじいインパクトを放っていた。 お昼休みに外を歩いていたら最近博論を提出した後輩とさらにその後輩の方とばったり会う。元気そうだった。博論を出した後輩はアネマリー・モルに会ったとのことで写真を見せてもらった。いいなー。僕はエディンバラに行ってきたと話したら「いいなー」と言うので「国際学会に行って、知りあった先生の…
今回の本はコチラ↓。 人間失格作者:太宰 治Amazon 人間失格 有名すぎるほど有名な文豪太宰治の小説。「恥の多い生涯を送ってきました」でおなじみ。子供の頃から自意識過剰のために他人を信じれず道化を演じて過ごしてきた主人公大庭葉蔵の人生を描く。実は初めて読んだのはもう数年前の話なのだが、この間青空文庫*1で読めることを知り、もう一度読みたくなったので最近読んだ次第でございます↓。 www.aozora.gr.jp というのも、人生でそこまで小説を読んできたわけではないけど、人間失格は人生で一二を争うほど好きで自分の心に刺さった小説なのです。暗いとか中二病と言う勿れ。センセーショナルというのは…
サムネ用 みなさん、こんにちは~~~~!みんな元気かな?僕は元気ではありません。 さて、ここ最近の更新が最悪な記事続きという訳でありまして…そろそろ最悪じゃない記事を書かねばと思いつつも良いネタが見つからない日々を過して参りました。最悪な記事のネタはいっぱい出てくるのにね。 今回ばかりは最悪な記事にならないと思うのでご安心を。 前置きが長くなりましたが当記事ではタイトルの通り積んでる本数えてみた!となっているのですが以前もこんな記事を書きましたね。 ↓以前↓ negi-mkrnskb.hatenablog.com あれから2年が経ち、22年の春には引っ越しをしたので今現在本棚に収まっている本の…
ローマのコンスタンティヌスの凱旋門。ナポレオン3世が建てたエトワール凱旋門のモデルになった凱旋門だが、塩野七生は『ローマ人の物語』においてレリーフの造形能力の低さについて触れ、「この種の『力量』もまた、国力に影響されずには済まないからではないかと思う」と述べているが、私の考えは少し違う。 コンスタンティヌスの時代は3世紀、元老院が容認した皇帝だけでも、その前半だけで14人の皇帝が廃立されたという軍人皇帝時代の後のディオクレティアヌスによって4分割された帝国を、コンスタンティヌスが統一していく時代だった。ディオクレティアヌスの皇帝権力強化により、軍人皇帝時代のように次々と皇帝が擁立されることはな…
オススメ度:★★★★★ 私は、信頼に報いなければならぬ。いまはただその一事だ。走れ!メロス。(p.177) 太宰治『走れメロス』 著者:太宰治(1909〜1948) 東京帝国大学仏文科中退。本名は津島修司。自殺未遂、麻薬中毒と破滅的な生活を送りながら作品を次々に執筆。1948年未完の『グッド・バイ』を残し愛人と玉川上水にて入水自殺した 本書のエッセンス・この一冊で太宰が天才だとわかった・短編集全体で太宰の随筆と作品が入れ子の関係として楽しめる・『走れメロス』は仕事で挫けそうになった時にオススメ 感想 この一冊を読んで、太宰はほんとうに天才なんだとわかった。 『人間失格』『斜陽』『ヴィヨンの妻』…
オススメ度:★★★★☆ 「僕はね、キザのようですけど、死にたくて、仕様が無いんです。生れた時から、死ぬことばかり考えたいたんだ。皆んなのためにも、死んだ方がいいんです。それはもう、たしかなんだ。それでいて、なかなか死なない。へんな、こわい神様みたいなものが、僕の死ぬのを引きとめるのです」(p.138) 太宰治『ヴィヨンの妻』 著者:太宰治(1909〜1948) 東京帝国大学仏文科中退。本名は津島修司。自殺未遂、麻薬中毒と破滅的な生活を送りながら作品を次々に執筆。1948年未完の『グッド・バイ』を残し愛人と玉川上水にて入水自殺した。 本書のエッセンス・人間の弱さと矛盾とその肯定 あらすじ クリス…
大政奉還後の刀を持てぬ侍のように… 華族解体の末、貴族は没落。 東京本郷の本家を追われ、静岡伊豆の家へ引っ越した。母と娘。 長男は戦地。 海、浜辺にてこれからの生活、先が見えない情景を娘と対話したシーン。 母:水野真紀さんが纏っていた緑を基調にしたものは素敵だった。*1 帽子、洋服と足元はまではみえなかったが、それこそ貴族を知らない私が貴族を感じられたシーン。(軽率かもしれませんが。) 宮本茉由さん:主人公のかず子役。好演でした。失礼ですけど多分はじめて役者として見た気がします。違和感なくのっけから入り込んでいましたね。プロフィールを調べながら視聴させて頂きました。 母の病が進行し床から身体を…
どうもAmazonプライムビデオのアルゴリズムには私の嗜好は「不倫」と『同性愛』が前に推しだされるようになっているようだ。サムネイル画像と少しの詳細をチラッと見ただけでその作品をクリックして視聴始めているだけだが内容はたいがいそれらにヒットしている。別に嫌ではないが去年の師走あたりのヒューマンドラマ的な要素はどこへやらだ。 終わりまで観ずとも途中の段階で既にどういう感覚を持てばこのような入り乱れる人間関係というか交錯する気持ちが描くことが可能なのか奇妙にさえ感じた。妄想からか後ろめたさからか、彼への愛が強い情緒から来たのか。その正妻とそのようなニュアンスで顔を合わせ会話し不倫相手に伝える。では…
心中天網島―女殺油地獄・曽根崎心中 (1983年) (コミグラフィック―日本の古典)Amazon 辻真先先生監修のコミグラフィック日本の古典において、『好色五人女』と並んで異色だったのが本作品。ジュブナイル向けの古典全集でこれは珍しいラインナップではないかと思って借りてみました。 しかし私の好みには合わない作品でした。 『心中天網島』は、主人公の紙屋治兵衛が大嫌いだ。こんな性格は大嫌いです。こんなひどい奴なのに妻のおさんや遊女の小春が何で愛想を尽かさないのか不思議です。紙屋治兵衛のライバル・太兵衛も治兵衛に輪をかけて嫌な奴です。 『女殺油地獄』の主人公・与兵衛はさらに悪どい野郎です。こんな悪人…
ハマり倒したパワーウォッシュの記事を書く。 昨日寝る前に太宰治のヴィヨンの妻と桜桃を読んだ。 なんかもうしょうもない話ではある。 戦時中は旺盛に活動し、戦後はメンヘラになった。 文章は抜群なのだよね。っていうか自分をさらけ出しすぎ。 TGAを見る。いつものゲーム会社の宣伝イベント。 バルダーズゲートで久々にアメリカンが盛り上がってる感じがする。 賞レースとは大雑把なものなのでしゃあない。 小島秀夫の新作はもちろん気になるけどホラーじゃあなぁ。 Pony Island2はなぜ中国要素もりもりなのか。中国で売りたいのか。それにしてはあまりに奇妙。 ストリーマーグラセフ6が見られるようになるのはあと…
この記事は2020年5月4日に公開されたものです。 こんにちは、まゆうです! 今回は、国際バカロレアのSelf Taught Japaneseで学ぶ内容や、取るにあたって知っておくべきことをを詳しく説明しようと思います! そもそもSelf-Taughtって何? 試験はどんなものがあるの? Self-Taughtの注意 などの疑問を抱いている人は必見です! 国際バカロレア(IB)のSelf-Taughtって一体何? Self Taughtなんて聞きなれない言葉で、戸惑う方も多いかと思います。 Self Taughtとは、「自分で学ぶ」という意味ですので、「独学で国語を勉強するのか?」と勘違いしが…
◎新作ロードショー 朝がくるとむなしくなる 《12月1日(金)から 東京 渋谷シネクイントほかで公開》 会社を辞め、アルバイトとして働く24歳の女性。仕事先で中学の同級生と再会したことから、空しかった日常が動き始める。(2022年 日本 監督/石橋夕帆) アダミアニ 祈りの谷 《12月1日(金)から 東京 YEBISU GARDEN CINEMAほかで公開》 東ジョージアの山岳地帯に暮らす、イスラム教徒のチェチェン系ジョージア人たち。「テロリストの巣窟」を呼ばれた故郷を復興させようとする人々の記録。(2021年 日本=オランダ 監督/竹岡寛俊) グリーフケアの時代に 《12月1日(金)から 東…
みなさんは恋に落ちたことはありますか? 「恋に落ちる」…ステキなような、絶望の淵を垣間見るような。 まだ初々しい頃に、太宰治の「斜陽」という小説を読んでいて、「これが恋に落ちるってことなのかな〜」と思ったものです。 ========================= 「今でも、僕をすきなのかい」 乱暴な口調であった。 「僕の赤ちゃんが欲しいのかい」 私は答えなかった。 岩が落ちて来るような勢いでそのひとの顔が近づき、遮二無二私はキスされた。性慾のにおいのするキスだった。私はそれを受けながら、涙を流した。屈辱の、くやし涙に似ているにがい涙であった。涙はいくらでも眼からあふれ出て、流れた。 ===…